食肉目ではイヌもネコも後眼窩突起が出ていたが、齧歯目では前頭骨から後眼窩突起が出ていない動物たちが多い。それだけ視覚には頼らずに嗅覚や聴覚、ヒゲの触覚によって食物を獲得しているのだ。アフリカオニネズミは地雷を匂いで感知するのに使われているAPOPO - Wikipedia。
齧歯目の前頭骨を見てもらう。齧歯目はリスRisu、ヤマアラシYama、ビーバー、ウロコオリス、ネズミNezuの5型亜目に分けれれている(齧歯目 - Wikipedia)。手持ちの齧歯目の頭骨ではRisu、Yama、Nezuの3亜目のものだけだ。
図1.左:NezuアフリカオニネズミCricetomys emini 右:YamaヌートリアMyocasor coypus
図2.左:NezuハムスタMesocricetus sp. 右:NezuハタネズミMicrotus montebelli
図3.左:NezuアカネズミApodemus speciosus 右:NezuラットRattus norvegicus
図4.左:NezuハツカネズミMus musculus 右:YamaモルモットCavia porcellus
リス科のムササビ、モモンガ、リスが後眼窩突起を持っているのは樹上生だが、地上性のシマリスやプレーリードックも後眼窩突起を持っている。シマリスやプレーリードックの祖先は樹上性だったが、地上へ降りたのであろう。リスの仲間は樹上生活で、枝から枝へ跳び移るので視覚は齧歯目の中では良い方だが、ムササビはぼくに気が付かないですぐ1メートルもない樹上に来たり、シマリスは近寄ってきてぼくのストックの臭いを嗅ぐまでぼくに気が付かなかった(図7)。そう云う意味ではクマやアナグマ並みとは云わないがシマリスやムササビでさえも相当目が悪い。
図7.シマリスがストックの匂いを嗅ぐ 釧路湿原で2008年7月
ぼくらヒトは視覚の動物だから、目で見て色や形で物を判断する。しかし、サルを除く多くの哺乳類は白黒に近い世界で生きているので、静止していると物を判断できない。しかし、動くとそれが、木か人か他の動物か判断できる。ぼくらは動いている物よりも静止している物の方がしっかり認識できる。それは色や形状がしっかり判るからだ。しかし、色や形状がはっきりしない夜間の星や月の光の下では、動かなければ立っている人でさえ気が付かない。だから、また、云わせてもらう。クマに出遭っても風がクマの方から吹いているならばぼくらが静止している限り認識されない。声を出してはいけない。
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