シカ柵の扉を開けて尾根に出ると、下草が無い尾根や斜面となる。
これはシカが根こそぎ食べてしまったからだと、説明されている。
ぼくは、北海道釧路生まれだ。牛や馬が柵に囲まれた狭い牧場で飼われていたとしても、杭の周りの草は食べられていなかった。
しかし、ここでは、木の周りはもちろんのこと全く、草が生えていない。
同行のYさんは、「除草剤を撒いたようだ!」と驚いている。
松枯れ!で倒れた木に混じって、松でない木も枯れて倒れている。
このように下草が無いと梅雨の時や台風の時の降雨で、山が崩れてしまうだろう。
一方、青々とした芽生えの木がある。
ジンチョウゲ科のオニシバリとクスノキ科のシロダモだ。
シロダモだけの森になるかもしれないと思うほどだ。
このような景観を作ったのはシカ?なので、シカの個体数を間引くための猟が行われていた。
ビーグル犬が走り回っていた。
本当に、シカがこのように下草がない東丹沢の景観を作ったのだろうか?
釧路はエゾジカが増えて、シカ肉のステーキなどの料理もレストランで出されている。
が、春や夏に塘路や阿寒の山を歩いた限りでは、丹沢のような下草が無い状況にはなっていない。
ぼくはスギ花粉症が10年くらい前から出るようになった。釧路に居る妹はシラカバ花粉症だと言う。娘はソバアレルギーのようだ。植物があってこそ動物は生きていけるのだ。その植物を悪玉にして、本当の原因を調べていない対処療法医学。
山の下草が無くなったのはシカが食べつくしたとする説明。本当にそれが原因?
1970年代には丹沢の山枯れは首都圏の汚染された空気が舞い上がり、雨とともに降り注ぐ場所が丹沢だと説明されていた。70年代よりもずーと多くの車が走り、経済活動も高くなっている筈。
この大気汚染説はどうなったのだろう。
確かに、70年代に比べ、川は綺麗になり、奇形魚も見なくなった。
しかし、排出された汚染物はどんどんこの大地や海や空気に含まれて溜まっているには明らかだ。