4月2日にやまぼうしさんからプレゼントされたネズミをアップした。
ヒメヒミズかカヤネズミか判断がつかなかった。
そのため、剥皮して、内臓を取り除き、除肉して、頭部と他の部分とに分けてペットボトルに容れて水に浸けておいた。
解体する前のカヤネズミMicromys minutus と思われるネズミの各サイズ。
ようやく、晒骨できた。
下は頭部以外の骨。
赤線で囲った①は腸骨、坐骨、恥骨の一部だ。②は頸椎、胸椎、腰椎の骨である。
③が大腿骨と一部合体した脛骨と腓骨、④が肩甲骨、上腕骨、橈骨、尺骨だ。
⑤の辺りに散らばっているのが肋骨であり、⑥の辺りには尾骨や肋骨が見られる。
しかし、こんなに小さなサイズの大腿骨や上腕骨は初めてだ。
下は頭骨部分の骨片だ。
このように頭骨が各パーツにバラバラになったために、
ヒメかカヤを同定する手掛りを失くしてしまった。
①は臼歯であり8個ある。②は聴胞で随分大きいね。③は首の骨の第一頸椎(環椎)であり、
④は後頭骨部分の大孔を形成する骨だ。⑤が前頭骨部分であり、⑥が蝶形骨、⑦が頭頂骨、⑧と⑨が切歯と前額骨と上顎骨、⑩が下顎骨と切歯である。尚、⑧、⑨の上顎骨には第三臼歯が⑩の下顎骨にも第三臼歯が残っている。
①の臼歯の部分である。まだ子供のネズミであることがわかる。
歯根がまだ完成していない。
当然咬面も擦り減ってはいない。
左上顎骨に残っている第三臼歯
右上顎骨の第三臼歯
左下顎骨の第三臼歯
8個の臼歯を抜けた上顎部分や下顎に挿入してみれば、もう少し、カヤかヒメか
肉薄できそうだが、、、ピンセットで摘み上げて適切な箇所に挿入していく根気がない。
とうとう同定できなかったが、
一番上のこの個体の全身を写した写真を見ると、尾の先に毛がないように見えることにお気づきだろうか?
ぼくは、解剖する前から、ネズミは尾の先の毛が無い(実際は無いのではなく白い薄毛がまばらにある)のが結構普通にいるのかなと思っていた。
しかし、「日本の哺乳類」東海大学出版の日本産ネズミ科の検索表では、
ヒメとカヤを区別する一つとして、カヤネズミの「尾の先端部が裸になっている」とある。
幼獣であろうと尾の先端部には毛がないのだろう。
とするとこれは?尾の先端は裸ではなく白い毛だ。オトナになると白毛が抜け落ちる?
そうすると、カヤネズミということになる。
何だー!一体!骨標本にするまでもなかったではないか!
まー、こういうことが往々にしてあるから面白いネ。
カヤネズミのコドモだろうけれど、③の上部の大腿骨の骨頭の軟骨はもうしっかり骨化しているね。
とすると、身体はもうオトナになりかけているかな?
でも、切歯は細く華奢であり、テンたちが食べたら糞として出てくるかどうか疑問だ。
が、臼歯は出てくるだろうが、オトナでどのくらいの大きさで咬面が擦り減っているのだろうか?
それとも、咬頭が鋭く尖っているのだろうか?
Animal Diversity Webhttp://animaldiversity.ummz.umich.edu/accounts/Micromys_minutus/
では、カヤネズミは生後37日♂、40日♀で性成熟に達し、20日間の妊娠でアカンボウを産むようで、野生での寿命は1.5年のようだ。
さらに、臼歯の咬面は尖っているとある。さらにさらに、聴胞は大きいとある。
上の②の聴胞を見た時は、他の頭骨の部分に比べて随分デカイと思ったのだ。
尚、ADWの記載では、尾の毛色は2色で、先端は色がないとある。
「日本の哺乳類」では尾の先端が裸と書いてあるが、
この個体の尾の先端は薄い白い毛だったのだ。
この個体は間違いなくカヤネズミだ!
となると、この個体はもう性成熟に達しているが、成長している個体といえそうだ。
つまり、生後1.5年くらいでも咬頭は擦り減らないで尖ったままなのだろう。
でも、尾の先端の記載の違いはどうしてだ。
やまぼうしさんからプレゼントされた個体は薄い白毛だった。
が、「日本の哺乳類」では裸となっている。
このカヤネズミはヨーロッパ産のものに近いということか?