「特定秘密保護法反対」

「特定秘密保護法」、「集団的自衛権」に反対します。憲法第9条をしっかり守りましょう。教育勅語の教材活用は間違いだ!

自由であっても、他人の生まれ、身体、性別、年齢、故郷、風習、宗教、民族、国を差別する、小馬鹿にする、冒涜するのは許されない。

原発不要・核廃絶


2020年2月29日土曜日

滑落したカモシカ!  The serrow that slipped off!

今日は、目覚めたのは5時をすでに回っていた。カモシカの死体を拾いに行く用意は昨夜している。急ぐことはない。今日は土曜日なので車は渋滞しないだろう。っと思ってうつらうつらしていたら、6時になっていたので跳ね起きる。顔を洗い、ザックの昨夜用意したビニールの袋類や剪定鋏に大きいカッターナイフ、庭仕事用のゴム手袋を確認し、補聴器をつけ、サーモに熱いウーロン茶を容れて完ぺきだ!
宮ヶ瀬の元ビジターセンター前の駐車場に車を置き、現場へ向かう。昨夕、やまぼうしさんからの連絡ではカモシカが早戸川林道沿いで死んでいると云うのだ。山の中での動物の死体は、すぐイノシシ、タヌキ、アナグマ、ネズミ、トビやカラスが肉や毛皮、骨を持ち去り、一週間も経てば殆んど死骸は無くなってしまう。
昨日、やまぼうしさんが送ってくれた写真では、カモシカはまだ肉食動物たちに手を付けられていないようだ(図4)。

テン糞を見つける(図1)。昆虫などの節足動物をたくさん食べたようだ。それで糞の色が黒っぽくなっているのだ。
図1.8:42 テン糞
汁垂沢が乳白色の青緑色っと云うか。何かのバクテリアが繁殖してこんな色になっているのだろう。
図2.8:44 汁垂隧道手前の沢の白だつしたような緑色の水
あった!でも、昨日の状態をちょっと違う。昨日やまぼうしさんが送ってくれた写真では、下顎の毛皮も上顎もの毛皮も、ましてや鼻面を含む口吻部分はそのまま残っていた(図4)。しかし、目の前のものは下顎や上顎の肉が毛皮ごと食べられていて無い(図3&5)。
図3.8:57 見つけたカモシカ
図4. 前日13時過ぎに撮ったやまぼうしさんの写真
図5. 鼻面と前顎の口吻部分が噛み取られている。
 さらに、下腹部の辺りが破られていて(図6)、ゴム手袋をつけた手で開いてみると何と内臓が全く無い!大腸や小腸に詰まっていたと思われるまだ形になっていないまるで馬に与えるために牧草を短く切った物を食べたような緑茶色の水溶物が腹の中に溜まっている。それが持ち上げたら流れた(図6を拡大した図7)。
コヤツ、餓死した訳ではないんだ!食物を十分食べているんだ。滑落だ!
図6. 下腹部が破られて内臓が全て食べられている
図7. クリックすると拡大するが、、、
頭部や前足、後足、肋骨や脊柱や寛骨、座骨などを持ち帰るつもりでいたが、大腿骨も齧られており、腰椎や脊椎も齧られている。昨夜はタヌキやアナグマはお腹の中に顔を突っ込んで晩餐会を楽しんだのだ。ぼくは持ち帰りを諦めて、座り、コンビニに買ってきたオニギリを食べる。全部、背の方まで見なかったが、おそらく肩甲骨の方まで齧られているだろうと思い、このカモシカを埋めることにした。
再びゴム手をつけ、少し窪んだ位置まで前足を持って引っ張り上げた。その上に、木や石を乗せた(図7)。アカネズミや節足動物ならこの肉や毛皮を食べることができるだろう。しかし、タヌキたちは無理だ。イノシシなら食べれるだろう。一度、こうやってウリボウを埋めたら、骨を殆ど回収できた。
図8.9:28 現場から少し上に引き上げて木や石を積み上げて埋葬
 石などで埋めて、林道に出たら、高齢のバードウォチャーが一人三脚を担ぎながらやってくるのが見えた。
折角早戸川林道に来たのだから金沢林道方面に行ってみる。橋の上に5人の釣り人の賑やかな声を後に通せんぼになっている金沢林道(図9)に入る。斜面の可成り上部から崩壊したんだ(図10)。
図9.10:19 金沢林道は法面の工事中で立ち入り禁止の看板
図10.9:43 法面工事がほとんど終わったようだ
工事現場を見たので、戻る。
帰りにはプロミナを持った人や、大きなレンズを抱えた夫婦づれ、グループなど早戸川林道はバードウォチングのメッカのように賑やかになっている。土曜日はどこもこうなのかな?
カーブミラにサルが悪戯した跡があった(図11)。
図11.10:19 カーブミラーにサルの足跡

パプアニューギニアからのお土産3)切歯 が4/4のバンデクート  A bandecoot whoes incisors are 4/4.

昨夕やまぼうしさんからカモシカ死体の情報を受け、今朝、現場に行ってきた。それについては後ほどアップします。

PNGのお土産にA.PNGとサインペンで書かれたジプロックの小袋に頭骨だけが入っていた。下顎骨は左右別々だが、歯が全て揃っている。上顎の歯も全て揃っている。それもその筈、下顎骨も上顎骨にも乾燥した薄い膜が残っている。しかし、頭骨の大孔の周りの後頭顆などの骨が無くなっている(図2)。
図1. 頭骨と左右の下顎骨
図2の底面から見た頭蓋骨の口蓋骨が薄い膜に覆われているのが判るだろう。この口蓋にも大きな口蓋孔がある。24日アップした頭骨は70mmの長さがあったが、これは57mmだ。両者とも近縁の動物だ。で、Animal Dyversity WebのEchymipera kalubu https://animaldiversity.org/accounts/Echymipera_kalubu/specimens/  この頭骨が非常に似ている。これは、Peramelemorphiaバンディクート目の仲間であり、少なくとも、和名がトゲバンディクートの仲間であることが解った。
図2. 頭骨底面から
上顎歯式:4・1・2・4
図3. 上からの頭骨と下顎骨
下顎歯式:4・1・3・4
図4. 左側面からの下顎骨付き頭骨
図5. 右側面からの下顎骨付き頭骨
ウィーキペディアの日本語版のバンデクートhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%88%E7%9B%AEを見ると、切歯は5/3であるが、本個体は4/4である。平凡社の「動物大百科」6 有袋類では、ニューギニア生息のトゲバンディクートは4本の切歯を持つと書かれている。A.F.DeBlase&R.E.Martin著”A Manual of Mammalogy with Keys to Families of the World"では、切歯は4-5/3とある。PNGのお土産2)でアップした頭骨は下顎骨が揃ってなかったが、上顎の切歯は4である。
24日アップした頭骨長は70mm、今日のは57mmだ。いずれにしても両者とも切歯が4であるのでEchymipera属には間違いないだろう。

2020年2月28日金曜日

タヌキはオスジカの死骸を食べた! Raccoon dog ate that carrion of male deer!

25日の伊勢沢林道歩きの目的は、熊ノ平の焼山沢右岸の尾根でタヌキ糞を見つけることであった。2月14日に伊勢沢林道でオスジカの滑落死体を見つけた。が、林道で拾ったテン糞10個にはシカの死骸を食べたと思われる糞が無かった。テンは腐肉は食べないが、タヌキなら食べているだろう。付近のタヌキ糞を見つけてシカの腐肉を食べているか否かを確かめたいと思ったからだ。
図1. タヌキのタメ糞
哺乳類の毛だらけのコインを乗せた糞塊(図1)は拾わずに、緑の葉の左上の最も新しい糞塊と左の糞塊を拾ってきた。内容物は、キブシの種子、腐葉砕片、昆虫翅・外骨格・肢、大型哺乳類剛毛(3cm以上)、砂泥であった。最も多かったのが昆虫翅・外骨格・肢と腐葉砕片であり、それに長い剛毛が絡まっていた。
タヌキ糞とオスジカの死体まで直線で1.5キロくらいしかない。ADWによるとタヌキの行動域は2.8~200haだ。そうなると少なくても、あの滑落のオスジカの死骸も食べたと思われる。
図2. 熊ノ平までのルート図
はタヌキ糞(図1)、緑はカモ糞(図2)、茶は2月21日のオスジカの滑落死体の場所

焼山沢右岸の尾根で、タヌキのタメ糞を見つけてから間もなく林道に下りてテン糞かと思われるような水草を食べたカモ類の糞を見つけた(図3)。このように大きなカモ糞は珍しいので拾ってきた。
図3. カモ糞
水洗いすると殆んど跡形もなく0.5mmメッシュの茶漉しから流れおちた。僅かに植物繊維質が残った。もう、これで確実にカモ糞は現場で見分けることができる。カモ糞は恐らく雨に当たればその場から消えてしまうだろう。しかし、カモ糞は鳥糞特有のあの白い尿酸が表面についていないんだ。どうしてなのかな?どなたか教えて!

2020年2月27日木曜日

パプアニューギニアのお土産 オオコウモリ Souvenir from PNG Flying fox

PNGからのお土産で2月23日にアップしたものがオオコウモリだと分かった。同じ箱の中に小袋は二重になっていて、29/01/11 コウモリ Sowom/PNG という袋の中に臼歯や犬歯とさらに骨片が入っていた。この骨片は23日にアップしたオオコウモリの小さな小さな切歯が付いた右前顎骨である事が判明した。これらの歯や前顎骨をボンドで着けたので、再度見てもらう(図2,3,4)。
前顎骨が無い図1のCの状態だったから同定が難しかったのだ。しかし、24日の夜風呂に入る時に突然、”オオコウモリ”だ!と思った。それは眼窩輪が出来そうになっていることや、犬歯が入る孔が大きいこと、さらに今まで見たことがない肩甲骨だったからだ!
図1. 2月24日にアップした写真
尚、f:鎖骨だと分かった。
”オオコウモリの仲間だ”と閃いた後、珍しく遅くまで”ADW”のオオコウモリの仲間の頭骨を確認したり、「哺乳類頭蓋の画像データベース」を見たりした。26日は5時に起き、木工ボンドで前顎骨を着けたり、歯を入れたりした。図1のbの下顎骨に入れていた犬歯は上顎骨の犬歯だった。また、fは鎖骨であることが解った。それにしてもオオコウモリの仲間の前顎骨は外れやすいし、この個体の切歯はほとんど摩耗して無いかのようだ。
前顎骨を着けた頭骨の長さは82mmある(図2)。何コウモリかはまだ不明だが、歯式(図2&3)から判断するとオオコウモリの仲間は間違いない。臼歯や犬歯、切歯の摩耗状態から判断するとfull adultの個体であろう。画像データベースでは、オオコウモリ属の頭骨長が他のオオコウモリよりも長いが、PNGのこのオオコウモリは画像データベースに載っているオオコウモリ属よりも少し大きい。PNG生息のオオコウモリの図鑑と云うよりも、PNGかニューギニアの哺乳類図鑑を手に入れたい。
図2. 右前顎骨を着け、犬歯や臼歯を入れた状態
歯式:2・1・2・2/2・1・3・3
図3. 犬歯や臼歯を入れた下顎骨
図4.右前顎骨と摩耗した2本の切歯

2020年2月26日水曜日

ノウサギの食痕だらけ!  Many feeding signs of hare!

昨日、伊勢沢林道を歩き、ぼくが勝手に名付けている熊ノ平(焼山沢右岸尾根のなだらかな小ピーク)まで行き、林道に出て戻ってきた(図1)。〇の林道のヘアピンカーブの所でブランチをとり、山に入り、熊ノ平まで登り、尾根を下って焼山沢右岸を走る伊勢沢林道の続きの林道に入り、〇の地点まで戻り、帰ってきた。
今回、〇から熊ノ平に行って一回りして再び〇の地点に戻った訳だが、このルート沿いはたくさんのノウサギの食痕や糞があった。
山に入ってすぐノウサギの糞を一個見つけて写真を撮った(図2)。
図1. 歩いたルート
〇の位置から山に入る
図2. ノウサギ糞を1個見つける
熊ノ平に登るまで、殆んどのノイバラの先がカットされ(図3)、ノウサギの糞が見つかる訳だと思った矢先に、大量のノウサギ糞があった(図4&5)。
図3. ノウサギがノイバラの茎を齧り切った痕
図4. ノウサギのタメ糞
図5. 上が齧り取られたノイバラの左側にたくさんのノウサギ糞
ノウサギのフィールドサインが見つかった地域の植生は大半が二次林だ。こういう食性の地域だからこそノウサギが生息しているんだ。また、テンやタヌキもいることになる。
おもしろいなぁーっと思った事がある。それは林道では、テンやイタチ糞、あるいはシカやカモシカ糞を見つけることが多いが、ノウサギ糞は珍しいかな?っと思う。ノウサギは林道歩きは少ないのかな?外敵に見つかりやすいことが一因かな?あるいは、食物かな?
図5. 歩いたルートの植生
暗緑色の部分はスギやヒノキの植林

2020年2月25日火曜日

シカのフィールドサイン  The fieldsigns of Sika deer

今朝、6時10分過ぎに家をでた。何と目覚めたのが5時50分であり、飛び起きる。昨夜山へ行く準備はしていたが、メガネが山用のガラスのレンズのものではなかった。それは車を走らせて間もなくわかった。
奥野隧道過ぎてからの空地に車を置き、歩く。今日も、崩壊地手前のカーブに森林伐採作業中と書いた紙を車に置いた灰白色のセダンが停まっている。ゲート前の駐車場には車は置かれていない。山仕事の人ならば奥野林道ならかなり奥まで行けるが、伊勢沢林道や桃ノ木林道はゲートを入ったらまもなく林道が崩壊しているので、ゲート前に車を置いてもよいだろう。その為の臨時の迂回路がある。
などと考えながら伊勢沢林道を歩く。
先日オスジカの滑落死体があった近くにシカの小便の跡(図1)があり、まもなくシカの樹皮食いの痕(図2&3)があった。さらに、林道の上に粘土でプリントした足跡や糞はたくさんあった。
図1.シカの小便だと思われる。
図2. シカの樹皮食い
図3. 歯の幅の大きさからしてシカだ!
 音見沢沿いに林道を少し登り、ヘアピンカーブのところでコンビニで買ってきたアメリカンドックとカップラーメンでブランチとした。
そこから、音見沢左岸の斜面の仕事道を使わせてもらって焼小屋沢の右岸の尾根の「熊ノ平」を目指して登る。

2020年2月24日月曜日

パプアニューギニアのお土産2)”不思議な口蓋骨の洞”  The souvenir from PNG "Mysterious big cavities of palatine"

パプア・ニューギニアには、有袋類の他に有胎盤類のイノシシやネズミ科の多くのネズミたち、さらには各種の翼手目が生息している。図1は2016.8. PNG Boikenとペンで書かれた袋から取り出した頭骨や骨である。この骨はかなりの日数の間、腐敗した水に浸けられたままであったようだ。脂質が全く抜けきっていて骨や歯がバラバラになっていたので、上腕骨の骨頭や滑車部分、頭骨の鼻骨や前顎骨、後頭骨などを、あるいは寛骨の恥骨結合の部分を木工ボンドで付着させた。
図1. a:背側からみた右肩甲骨、b:後ろからの上腕骨、c:上面からの頭骨、d:左側からの左下顎骨の部分、e:上からの左寛骨と右恥骨部分
図2. 底面から
下顎の歯式は、4・1・3・4である。臼歯を見ると、肉食が多い雑食性だ。上顎骨と口蓋骨との境目に大きな二つの空洞がある。これは大口蓋孔Greater platine foramenなのだろう。獨協医科大解剖学教室の哺乳類頭蓋の画像データーベースの有袋類http://1kai.dokkyomed.ac.jp/mammal/jp/order/marsupialia.htmlをみると、有袋類には凄く大きな大口蓋孔をもつ動物たちが多い。何故、こんなに大きいだろう。どなたから教えてもらいたいものだ!
図3. 右側面から
口吻が長く、後眼窩突起が僅かにでている。コヤツは視覚よりも嗅覚に頼って食物を探している。
図4. 右上腕骨を前方から
上腕骨に顆上孔がある。と云うことはこの動物は爪で木登りをするのだ。
このPNGに棲む有袋類は誰なのだろうか?名前を知らないし、有袋類と云うだけでどんな動物かも判らない。しかし、口吻が長く、木登りができて、雑食で子ウサギくらいの動物だ!

2020年2月23日日曜日

パプアニューギニアのお土産 The souvenirs from Papua New Guinea!

昨日のお昼、横浜中華街で「丹沢サル観察し隊」の食事会があった。この会はぼくがサルを追っていた事で知り合ったさまざまな人たちだ。今日来たのは、ぼくの教え子のYさん、介護の仕事をしているKさん、熱帯病を研究しているTさん、大震災にあった飯館村でボランティアで何年も活動しているNさんとぼくの5人であった。
Tさんからa little something from PNGと印刷された紙袋を貰った。中にはパプアニューギニアの動物の骨が小分けされて入ってる。殆んどが有袋類のものだ。凄く嬉しい。全てが晒骨されたものだ。ぼくが手元に標本として持っている有袋類は、フクロモモンガ、ドワーフポッサムの2種類だけだ。帰宅後、すぐ2011.2.PNG Sowom とサインペンで書かれているジプロックのビニール袋を開けて、方眼紙の上に置いた(図1)。
図1. この有袋類は誰なのだろう。
a:左肩甲骨、b:下顎骨、c:頭骨上面から、d:右寛骨、e:左寛骨、f:左橈骨、g:左上腕骨、h:仙骨?、i:腰骨
図2. 頭骨底面から
図3. 頭骨左側面から
頭骨の長さは、80mmある。下顎骨の歯式は2・1・3・4かな(有胎盤類の基本的歯式は3・1・4・3だが、有袋類は前臼歯が4で臼歯が3であるようなのだ。上顎は、0・1・( 4 )だが、切歯もろとも全顎骨が破損したのかな?
さぁー、今夕までにこれが何と言う動物か同定できるかな?
ニューギニアの哺乳類でネット検索したがダメなので、Mammal in New Guineaでやったら、パプアニューギニアの哺乳類のリストまで出てきたので、なんとか同定してみよう。さらに貰った袋を調べていたらコウモリと書かれた小袋に歯がたくさん入っている。オオコウモリの歯だ!ネコの歯くらい大きい。さらに、イノシシの下顎骨も見つかった。ニューギニアの哺乳類は有袋類の他にコウモリやイノシシなどの有胎盤類も生息しているんだ。もちろん、ドブネズミもいるだろう。

2020年2月20日木曜日

オスジカの死骸の3日後   Three days after the stag's corpse!

昨年に引き続き今年も確定申告はパソコンのe-Taxでやった。1年に一回なので最初は戸惑ってしまった。しかし、収入や保険、寄付等の数字だけをタイプすると自動的に還付金が算出される。手元で計算機を置いて計算する必要がないので、あまりにもあっけなく終わってしまう。

とうとうクルーズ船ダイヤモンド・プリンセルで感染した客が2人亡くなった。ぼくも気管支・肺が弱いのでこの新型コロナを非常に恐れている。

ところで、14日に伊勢沢林道に見つけたオスジカの滑落死体(図1)をアップした。野生動物の死骸に興味を持つ現代アーティストのT.Miyakeさんにこの死骸の事を伝えたら、彼は17日のお昼頃現場に行き、その時の写真を送ってきた(図2)。
図1. 14日
 3日経つとこんなにもバラバラになってまっている。足が1本と肋骨が見つからなかったようだ。日本にはハイエナのように骨を全部かみ砕いて食べてしまう食肉目の動物はいないので、誰かがどこかに運んでいったのだろう。しかし、こんなにバラバラにしたのは、アナグマ、タヌキ、イノシシ、アカネズミ、カラスなどの動物たちが、齧って引っ張ったりした結果だ!
図2. 17日にT.Miyakeさんが撮る

2020年2月18日火曜日

東丹沢にミズラモグラがいる?Are there Japanese mountain moles in the eastern Tanzawa?.

テン糞8から出てきた歯と爪と骨を調べた。
水洗いしている時にCの爪を見つけた時は、ヒミズだと思った。洗った残渣を机の上で見ていてAを見つけた時は、アズマモグラの橈骨の肘関節に接する部分、Bは上顎の第一、二前臼歯だ。
でも、Aの橈骨が少し小さいと思ったので、手持ちの標本と比べた。明らかに一回りも小さい。さらに、ヒミズと思った爪もアズマモグラの物より一回り小さい。Bの第一、二前臼歯は大きさも少し小さい。
この糞内容物として出てきた骨片はアズマモグラのまだ小さな子供なのかもしれない。しかし、子供なら長骨末端の軟骨部分が見つからない。

モグラ科はモグラ亜科のモグラ属と小型のミズラモグラ属が日本に生息している。
で、アズマモグラの出産時季を調べたら、4月下旬から6月下旬の春だ(「モグラの生態」富山大学野生動物保全学研究室ホームページ)!するとテン糞8から出てきた骨片はアズマモグラより小さな橈骨なのでミズラモグラEuroscaptor mizuraだと考えられる。しかし、神奈川県にはミズラモグラは確認されていない(阿部永著「日本産哺乳類頭骨図説」)が、山梨県には生息している(前掲)ので、東丹沢山麓に入り込んでいると云える。
図1. テン糞8に含まれていた歯と爪と骨片
A:ミズラモグラの橈骨 B:ミズラモグラの上顎の第一前臼歯と第二前臼歯 C:ミズラモグラの爪
アズマモグラはコウベモグラに比べて一回り小さい。さらに小さいのがミズラモグラだ。以前、野生生物探検隊の集まりで、湯河原の白銀林道でフクロウの巣としている樹洞の底に積もってあった大量のペリットを持ってきて内容物を調べたことがあった。その時にたくさんのモグラの骨があった。全部残しているので、再度調べなおしてみるか!

2020年2月17日月曜日

テンは腐肉を殆ど食べない!Japanese martens eat scarcely carrion!

今回は伊勢沢林道で滑落したオスジカの死骸を見たので、テン糞の中に当たり前のように、長いシカ毛が入っているものと思った。
しかし、テン糞1は細かな植物繊維質だけが残り、これは水生植物食のカモ糞と間違えて拾ってきた。カモ糞との間違いは1,2度ではない何度目だろうか?それにしても良く似ている!
水洗いしたものを鉢受けに空けて、シカ毛を探したが、獣毛が出てきたのはテン糞5、6、8でテン糞7と9は羽毛であった。これはどう考えたら良いのだろうか?滑落死体には頭部にも毛皮が残っており、ハエまで集っているのだ。何故、長く太いシカ毛が出てこないのか不思議でもある。テンは腐肉漁りはしないということか?

ADWを見た。アメリカテン(Martes americana)は腐肉を食べるが、ニホンテン(M.melampus)の方には腐肉・死肉carrionは載ってない。で、ぼくのデーターを調べた。55個の糞にシカ/カモシカの毛の混入の記載があり、その内41個がタヌキ、テンが6個、アナグマが2個、キツネが5個、イノシシが1個であった。糞総数が1703個の内、テンが1127個、タヌキが300個、アナグマが76個、キツネが19個、他にイタチ、クマ、ハクビシン、アライグマなどがある。タヌキやテンがシカやカモシカを襲って食べるとは考えられない。猟期に撃たれて勢子から逃げたが打たれた傷が元で死亡した個体や滑落死した個体の肉を食べているものと思われるが、300個のタヌキ糞の内シカ/カモシカが42個であり、1127個のテン糞の内僅か8個しかシカ/カモシカ毛が含まれていない。これらの8個の糞をしたテンは腐肉ではなくて、まだ死んで間もない個体の肉を食べたのかもしれないが、腐肉を食べたのかも知れない。
統計的有意差を出すまでもなく、シカ/カモシカを食べているのは圧倒的にタヌキであり、テンは殆んど食べないと云っても過言でないかもしれない。テン糞の多さから判断するとテンがシカ/カモシカを食べるのは死んでまだ腐ってない時なのかも知れない。
テン糞1
これは、1~4ミリの植物繊維だけなので、
テン糞は誤りでカモ糞と思われる。
テン糞2
腐葉砕片、4cmムカデ、昆虫外骨格
テン糞3
キブシ種子、腐葉砕片、昆虫脚・外骨格
テン糞4
キブシ種子、サルナシ種子、腐葉砕片、昆虫脚・内翅
テン糞5
キブシ種子、腐葉砕片、小動物毛・骨片多数、節足動物肢・外皮
テン糞6
キブシ種子、サルナシ種子、腐葉砕片、小哺乳類毛・2-3m骨片、昆虫外骨格、節足動物外皮・肢、砂泥
テン糞7
キブシ種子・果肉・果皮、腐葉砕片、昆虫翅・肢、直翅目翅、羽毛
テン糞8
キブシ種子、腐葉砕片、モグラ毛・爪・小臼歯・橈骨・骨片
テン糞9
キブシ種子、羽毛・骨片・爪・第一指骨・頭蓋骨
テン糞10
サルナシ種子、腐葉砕片、節足動物外皮、砂泥