日本に生息するの食肉目イヌ型亜目Caniformiaのイタチ科、イヌ科、クマ科、アライグマ科の前頭骨から張り出す後眼窩突起を見てもらいたい。
イタチ科では、前頭骨からガッシリしているが太くて小さな後眼窩突起が出ている。イタチが最も前方に出ており、三種とも後眼窩突起が盛り上がっている。イタチ科の後眼窩突起はイヌ型亜目の中ではもっとも小さなものである。後眼窩突起は眼球保護・視覚と結びついていると考えられるので、イタチ科の中ではイタチが一番目が良いと考えられる。そして、アナグマは一番目が悪いと思われる。
図1.イタチ科Mustelidae 左:アナグマMeles meles 中:テンMartes melampus 右:イタチMustela itatsi
イヌ科では、イヌの後眼窩突起の盛り上がりが凄いが、タヌキ、キツネではそのような隆起はない(図2)。タヌキの突起は薄く尖る。下記のイヌ科の中ではイヌが他2種よりも目が良いと考えられる。
アライグマやクマでは後眼窩突起は太くて短い突起となる。上からみた頭骨を見るとツキノワグマは目が悪いと云う事が云える。
山を歩いていて動物たちに偶然出遭った時の経験からしても、上記の食肉目の中ではツキノワグマが最も目が悪く、次にアナグマであることが、後眼窩突起の発達具合を見ても納得できる。ツキノワグマやアナグマは風が彼らの方から吹いていれば、こちらが動かなければ3,4メートル先からでも彼らはぼくを認識できなかった。アナグマではぼくの靴の臭いを嗅ぐまで気が付かない(図4)。それはシマリスでさえもそうだった。
図4.アナグマがぼくの靴の匂いを嗅ぎに近づく 東丹沢で2006年4月
昨年はクマが市街地まで出没し、人が危害を与えられている。しかし、その原因は人がクマに遭遇して驚いて声を張り上げ、逃げるからだと考える。動物たちの鼻が良いが、目は悪いので、3,4メートル先にクマを見た時でも声を上げたり、逃げたりしなければクマは気が付ない筈である。しかし、クマが先に人の気配に気付いて、クマが威嚇音を発する。その威嚇の音声は、ヘビースモーカーが大きな声で痰を吐き出すような喉から絞ったような「エヘン」と続く音声を出すことである。藪の中からそのような音声が聞こえたら、静かにゆっくりとその場から離れることだ。クマは人が恐ろしいので威嚇音を発するのだ。ぼくは、山仕事をしている人たちがタバコを吸いながら休んでいるのだと思って、威嚇音がする方へ近づいて行ったことがあった。そう云うガラガラ声のエヘンと云う音声が続くのはクマの威嚇音だ。
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