昨朝、歯医者に行ってきた。ぼくは老Homo sapience♂だ。子供の頃から虫歯で歯医者に通い、それが傘寿を向えてもまだ歯医者に通っている。ヒトは虫歯になり、虫歯部分を削ってそこに人工物を埋めたり、義歯を装着したりしてこうやって、リンゴ、トウモロコシ、魚、肉、さらには硬いピーナッツなども食べることができる。
サルたちは歳をとると歯が磨り減って欠けていく(図1)。この老猿♂は群れの後ろにようやく着いて移動していた。が、腰が曲がってよぼよぼしていた。この老♂の死体を偶然水沢橋の下で見つけた。
正面から見ると、上顎のと下顎の切歯や犬歯が減って上顎の左第一切歯と下顎の左の2本の切歯と犬歯が消失している。また右の犬歯も根元付近まで摩耗している。
図1.東丹沢の腰曲がりの老ニホンザルMacaca fuscata♂頭骨正面から
上の歯と下の歯を見ると(図2)、前臼歯・臼歯も酷く摩耗し、下顎の左右の第一臼歯はエナメル質は全て摩耗し、歯根が分かれる部分まで摩耗している。こりゃー食べる度に歯が痛かっただろうに。
いずれにしもこの老♂は先ず、切歯や犬歯が消失するまで摩耗し、臼歯も歯根が出てくるまで摩耗している。冬には樹皮食いをしなけばいけなかったのでさぞ痛く苦しかっただろう。 サルにとっては切歯や犬歯は採食行動の為には、非常に重要な歯だろう。しかし、切歯が消失しても食物となる葉や木の枝を手に取って臼歯で引き千切り、咬み切ることができる。サルのような雑食性の哺乳類の歯の摩耗をもっと手持ちの標本で見て行きたい。
この老♂の左右の下顎骨の長さが違う。右が短いのだ。これは後天的なものだとすると、左の下顎の切歯と犬歯の消失は若い時からなのかもしれない。この老♂は2,3歳の時に群れに接近してきた♂に襲われ下顎の部分を咬まれ大怪我をしたのかもしれない。それは箱根・湯河原T群のグシャオのように(参照、p-102、拙書「頭骨コレクション」)。



0 件のコメント:
コメントを投稿