イノシシ、シカ、カモシカの口吻部の上から、下から、側面から見た違いを述べたい。前回は後頭骨部分から見た3種の違いを述べた。今回は眼窩の前の部分の口吻を問題にする。図中のA:前顎骨、B:切歯孔、C:鼻骨、D:上顎骨、E:前頭骨、F:口蓋骨
図1. イノシシの口吻上から
図2. シカの口吻上から
図3. カモシカの口吻上から
①上から見たイノシシの口吻は細長く(図1)、前顎骨が伸びて鼻骨の3分の2位までの奥に切歯している(図4)が、シカの前顎骨は鼻骨の前端付近で接する(図2、5)だけであるが、カモシカでは前顎骨は鼻骨には全く届かない(図3、6)。②イノシシの鼻骨は前顎骨の先付近まで伸びて(図4)鼻骨の長さは鼻骨の最大幅の4倍強あり、先端はV字(図1)になるが、シカの鼻骨は細長い(図2)が鼻骨の長さは鼻骨の最大幅の3倍であり、先端はM字になる(図2)。一方カモシカでは鼻骨の長さは最大幅の1.5倍であり、先端は崩れたW字状(図3)である。
③イノシシの切歯孔の長さはほぼ15mm以内の楕円形で、切歯孔の後端部だけが上顎骨となり周囲は前顎骨(図7)である。が、シカやカモシカでは30mmを近くになり細長く、上顎骨が外側の半分くらいまで伸びている(図8、9)。シカの切歯孔の後端部は上顎骨に食い込んだU字状(図8)で左右の状態を底面から見るとW字状にみえる(図8)。が、カモシカの切歯孔の後端は上顎骨に食い込まず鈍い楔状になっている(図9)。
④イノシシの眼窩の前の涙骨部分は凹んでないが、シカでは凹み、さらにその前方の上顎骨と鼻骨、前頭骨部分の骨が欠如している。カモシカでは涙骨と涙骨に接する上顎骨が凹む(全ての図を参照)。
図4. イノシシの左側面から
図5. シカの左側面から
図6. カモシカの左側面から
図8. シカの頭骨の底面(腹側)から
図9. カモシカの頭骨の底面から
さらに、底面から見た頭骨前部(吻部)では、
⑤イノシシには切歯が3対犬歯1対があるが、シカやカモシカでは切歯はなく、カモシカでは犬歯も無い(図9)。シカの犬歯(t)は5ミリほどの短いものだ。
⑥イノシシの大口蓋孔は第三臼歯の先端部に並ぶが、シカやカモシカでは第二臼歯前部である(図8、9)。
⑦イノシシの臼歯はヒトの臼歯状で前後に長い(図7)、シカやカモシカは横に層状になり、シカの臼歯は一本一本前後よりも左右に長い(図8)が、カモシカは前後に長い(図9)。
⑧イノシシでは下から見た口吻部の切歯孔の後端部から第一前臼歯までの上顎骨口蓋突起はほぼ同じ幅であるが、シカでは15mm以上であるが幅は狭くなりカモシカでは14mm以下と非常に狭くなる(図7、8、9)。今年の専門学校の卒業式はオンラインで参列したと云うか見た。コロナ禍で次年度の授業スタイルも対面とオンラインを駆使したものになるだろう。学生たち全員がスマホではなくPCを持って参加できる状況になると良いが、、、、。
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