テン糞8から出てきた歯と爪と骨を調べた。
水洗いしている時にCの爪を見つけた時は、ヒミズだと思った。洗った残渣を机の上で見ていてAを見つけた時は、アズマモグラの橈骨の肘関節に接する部分、Bは上顎の第一、二前臼歯だ。
でも、Aの橈骨が少し小さいと思ったので、手持ちの標本と比べた。明らかに一回りも小さい。さらに、ヒミズと思った爪もアズマモグラの物より一回り小さい。Bの第一、二前臼歯は大きさも少し小さい。
この糞内容物として出てきた骨片はアズマモグラのまだ小さな子供なのかもしれない。しかし、子供なら長骨末端の軟骨部分が見つからない。
モグラ科はモグラ亜科のモグラ属と小型のミズラモグラ属が日本に生息している。
で、アズマモグラの出産時季を調べたら、4月下旬から6月下旬の春だ(「モグラの生態」富山大学野生動物保全学研究室ホームページ)!するとテン糞8から出てきた骨片はアズマモグラより小さな橈骨なのでミズラモグラEuroscaptor mizuraだと考えられる。しかし、神奈川県にはミズラモグラは確認されていない(阿部永著「日本産哺乳類頭骨図説」)が、山梨県には生息している(前掲)ので、東丹沢山麓に入り込んでいると云える。
図1. テン糞8に含まれていた歯と爪と骨片
A:ミズラモグラの橈骨 B:ミズラモグラの上顎の第一前臼歯と第二前臼歯 C:ミズラモグラの爪
アズマモグラはコウベモグラに比べて一回り小さい。さらに小さいのがミズラモグラだ。以前、野生生物探検隊の集まりで、湯河原の白銀林道でフクロウの巣としている樹洞の底に積もってあった大量のペリットを持ってきて内容物を調べたことがあった。その時にたくさんのモグラの骨があった。全部残しているので、再度調べなおしてみるか!
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