シカとカモシカの下顎骨の頬歯を見比べていた。興味深い事にカモシカの頬歯の摩耗がシカよりも激しい。下顎の頬歯だけでもシカとカモシカを区別する一つの手掛りにできそうだ。っと思って見ていると摩耗が酷いカモシカがいる(図1)。コヤツは塩水林道付近の尾根で見つけたカモシカ♂だ(図2)。
図1.カモシカCapricornis crispusの左の頬歯の摩耗、特に第一臼歯が酷い
が、右の第三臼歯の後端が摩耗してない
図2.カモシカの死体 2009.01.28塩水林道沿いの尾根
少し、図1の頬歯を拡大する(図3)。左(手前)の第一臼歯を含め、その前の第三前臼歯、第二・第三臼歯も摩耗が激しい。特に第三前臼歯の摩耗は半分以下まで磨り減っている。一方右(奥)の第三臼歯の後端は摩耗が少ない。上顎の頬歯を見た(図4)。右の第三臼歯が萌出していないのだ。そのため、右の頬歯5本が全体として奥にずれている。図3.図1の頬歯を拡大
下顎の右第三臼歯の後端が磨り減っていないのは、上顎の第三臼歯がないからであり、そのために噛み合わせがずれてしまい、下顎の第一臼歯に負担が掛かったことをこの歯の摩耗は物語っている。
図4.上顎の頬歯の摩耗状態
右の第三臼歯が無い(萌出しなかった)
図5.左側面からの頭骨
左下顎の第三臼歯後端に咬み合う上顎の第三臼歯が無い
左下顎の第三臼歯後端に咬み合う上顎の第三臼歯が無い
このカモシカの頭骨の角は発見時(図1)には2本揃ってあったが、2ヶ月後に再び行った時には角がノコで切り取られていた(図6)。カモシカの角は漢方薬として使われるようだ。
図6.2ヶ月後のカモシカ 2009.03.16
左上の第三臼歯が一本出て来なかったことで、頬歯の全てが第三臼歯の役割を補おうと咬み合わせを少しずらして木の葉や草を食べてきたのだ。このカモシカは死ぬまで(死因は不明)歯で苦労した事だろう。が、生まれながらの欠損で、他個体を比べる事もないので、奥歯が生まれながらに無いとは感じなかったかな、、、、、、。






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