前回はイヌ科のイヌ、キツネ、タヌキとネコ科のイエネコの脛骨と腓骨を比べてみた。イヌ科の腓骨はどれも細く薄く、下半分が脛骨に付着している。が、イエネコの腓骨はイヌ科の動物たちの腓骨に比べると脛骨とは完全に分離しており、上下端で接するだけであった。イヌ科もネコ科の動物をカギ爪をもってはいるが、ネコが木に登れるがイヌ科の動物たちは木登りが下手であることを物語っていた。
食肉目は聴胞の内部が一室なのがイヌ亜目で、二室なのがネコ亜目の二つの亜目に分けられる。イヌ亜目にはイヌ科、クマ科、イタチ科さらには鰭脚類のアザラシ、オットセイの仲間が入る。ネコ亜目にはネコ科、ハイエナ科、ジャコウネコ科などが含まれる。
ここで、イタチ科は木登りが得意な、テンやイタチがいる。また、ジャコウネコ科のハクビシンは木登りどころか電線なども渡るのが得意である。
ここではイヌ亜目イタチ科のイタチ(図1)とネコ亜目ジャコウネコ科のハクビシン(図2)の脛骨と腓骨を比較する。
図1.イタチ(鴨川産)の右足の脛骨と腓骨
図2.ハクビシン(藤沢産)の右足の脛骨と腓骨
ご覧のように両者の脛骨と腓骨には大きな差がない。あるとするならばイタチは長さが55ミリくらいなのに、ハクビシンは長く80ミリはある。腓骨の太さは同じくらいなのでイタチの方がハクビシンよりも木登りが上手かもしれない。☆☆ここでは取り上げないが、アナグマの脛骨と腓骨はしっかり分離ししかも腓骨も太い。さらに、アナグマの上腕骨には木登りする動物がもつ顆上孔をもつ。面白い事に顆上孔は同じイタチ科のラッコの上腕骨にもある。 骨だけ見て生態を判断するのは非常に難しい。
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