丹沢山麓に下草が生えないのはシカの食害によるものだとされている。
同じようにシカが増加して困っている釧路の野山の状態と比べて、
丹沢と釧路ではどこが違うのか考えていた。
始めは大気汚染が丹沢の森林や土壌に影響を与えているのだろうと思った。
だが、新しく作られたスレンレスのシカ防護柵内の植生がみるみる
回復してきているのを見ている。
で、今回の釧路でなーんだと思いついた。
釧路湿原の冬は雪と氷で覆われる。
写真は2008年の塘路湖付近の釧網線の雪景色
塘路湖から釧路市内に向かう道路、左側に釧網線が走り、
右に釧路川が流れる。
2008年1月。
冬の湿原は氷と雪で覆われる。
シカが食べることができるのは雪の上に出ている樹皮だけだ。
では、氷に覆われない丘陵の上はどうだろうか?
ここは丘陵の尾根に当たる部分で、シカ道となっている。
それでも下草が生えている。
尾根上なので冬季の積雪は風で飛ばされて少ないであろう。
しかし、釧路地方では、一度降った雪は根雪になって春まで融けない。
この尾根上には4、5メートルおきにシカ糞が見られる。
古いシカ糞だ、恐らく雪の上にあったものが雪がとけてこのような状態になったのだろう。
湿原と丘陵は冬は雪氷に覆われる。
その為に、シカたちは雪の下の草の根までは食べることができない。
エゾジカの個体数の増加に困っている農家の人たちの声が釧路新聞や北海道新聞などの
地方新聞に載っている。
だが、釧路の人々は春になるとアイヌネギやウドなどの山菜採りを楽しめる。
また、様々な釧路湿原の四季折々の花々を楽しんでいる。
クマザサも繁茂して、ヤブを作っている。
これは、とりもなおさず冬季の雪氷が大地を覆うからだ。
あと数十年後には北海道は温暖化の影響で水稲やミカンの適地になるという。
こうなると、釧路湿原もシカによって植物が食べつくされてしまう可能性が高い。
丹沢のような植生にしないためにも、今の内にシカ肉を食べるようにしなけばならない。
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