性成熟を過ぎて老齢化していくと、哺乳動物たちの左右の寛骨は、恥骨と坐骨で癒合・合体する(図1,2,3,4,5)。図3のクロ(イヌ)は15歳で死亡した。他の、シカ、カモシカ、ネコ、タヌキは老齢個体と推定したものだ。
シカ、カモシカ、イヌ、ネコ、タヌキは老齢化して左右の寛骨が癒合・合体する。老齢化した哺乳類の左右の寛骨が癒合・合体するのはメスならばもう出産はしないので、左右の寛骨が合体しても問題がない。しかし、仙骨までが寛骨と合体している骨を拾ったことがない。但し、図2のカモシカの仙骨は左右の寛骨の間にボンドでくっ付けたものである。これは老齢化して寛骨が癒合・合体したメスでも出産の可能性があることを示していると考えられる。
しかし、老齢化したシカ、カモシカ、イヌ、ネコ、タヌキの左右の下顎骨が癒合・合体している骨や死体を拾ったことがない。サルやイノシシ、ハイラックスの仲間は生まれながらに左右の下顎骨は一つになっているが、他の多くの哺乳類は左右の下顎骨は癒合・合体しない。
図1.シカの寛骨
図2.カモシカの寛骨と仙骨(仙骨はボンドで接着)頭蓋骨アリ
図4.ネコの寛骨(頭蓋骨アリ))
図5.タヌキの寛骨(頭蓋骨あり)
しかし、手持ちの標本では、アナグマだけが老齢化すると左右の下顎骨が一つになり、そのため上顎骨の関節から外すことができない(図8)。このような老齢のアナグマの頭骨が2つある。しかし、これらのアナグマは白骨化した頭骨や一部の骨を拾ったが、寛骨や仙骨は見つからなかった。図6.アナグマの底面からみた頭蓋骨と下顎骨
図7.左右の下顎骨が完全に癒合しその境目も不明
図8.このアナグマは下顎骨を関節から外す事ができない
ぼくが一番多く持っている頭骨はタヌキだ。しかし、持っている全てのタヌキの下顎骨は左右がバラバラだ。タヌキはアナグマほど長生きは出来ないのかもしれない。今、ペットのイヌが15歳を過ぎても生きている。そんなイヌの左右の下顎骨はどうなっているのか見てみたいものだ。
しかし、アナグマは他の哺乳類とは違って左右の下顎骨が別々に動かすことが少ないのかもしれない。それは上下の歯を見ても左右のどちらかの歯が特に摩耗していることが無いので、噛む時は左右どちらの咬筋も同じように力を入れているのだろう。
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