日本に生息するイヌ科Canidaeの頭骨では、下顎骨だけでもイヌCanis familiaris、キツネVulpes vulpes、タヌキNyctereutes procyonoidesを容易に区別することができる。では、骨盤ではどうだろうか?
イヌは飼っていた14歳で亡くなった中型犬雑種のクロ♂のものだ。キツネ♂、タヌキ♂は東丹沢で死骸を見つけ洗ったものだ。ここではクロに合わせて恥骨・坐骨結合(老齢化すると結合する)しているキツネとタヌキを選んだ。
非常に大雑把な話しをする。図1&2からイヌやキツネの坐骨結合から坐骨へ流れる角度(坐骨弓)が広がっている。しかし、こうやって比較するとイヌの寛骨は随分大きいね。イヌのクロは柴犬くらいの大きさだったが、キツネやタヌキとは比べ物にならないくらい大きい寛骨をしている。
キツネの腸骨の仙結節と寛結節は置いた面にほぼ垂直になっているが、イヌ、タヌキは寛結節が外側に広くなっている。
図1.背側からみた骨盤:左からイヌ♂、キツネ♂、タヌキ♂
〇坐骨結合、→仙結節、←寛結節、a腸骨、b恥骨、c坐骨
図2.腹側からみた骨盤:左からイヌ♂、キツネ♂、タヌキ♂
次に、寛骨を真後ろから恥骨結合・坐骨結合を軸として左右の坐骨の広がりを見ると、イヌ、キツネは同じくらいの広がりだが、タヌキは明らかにイヌ・キツネより左右の坐骨は狭い。
イヌ科のイヌ、キツネ、タヌキの寛骨でも3種を区別することができることが判った。イヌのキツネ、タヌキの順に寛骨が小さくなるが、イヌの寛骨の大きさは他の2種より著しく大きい。また、タヌキでは左右の坐骨の広がりが狭い。
図3.背側後方から見た坐骨:上からイヌ♂、キツネ♂、タヌキ性不明
黒線は坐骨結合からの左右の坐骨の広がりを示す
この坐骨結合からの左右の坐骨の広がる箇所には、尻の穴があり♀では膣孔が開く。つまり、子供が生まれてくる出口がある所である。イヌもキツネもタヌキも5、6頭の赤ん坊を産む。イヌやキツネ、タヌキは♂の坐骨である。イヌのクロは14歳であった。恥骨・坐骨結合はあるが、仙骨と腸骨は癒合していなかった。また、キツネ、タヌキの仙骨も癒合していなかった(木工ボンドで接着しただけだ)。モグラなどの無盲腸類は寛骨と仙骨が癒合・合体しているが、他の哺乳類では寛骨が恥骨や坐骨で癒合合体しても仙骨は癒合しない。但し、手持ちの標本の内、イノシシのものだけが仙骨と寛骨が腸骨部分で癒合しているものが1個ある。相当老齢化したイノシシだと考える。では、同じイヌ科の3種の動物なのに何故、このような坐骨の広がりの違いがあるのだろうか?次回はこの違いについて言及した。
友人の息子の奥さんが「ひだか市民ネットワーク」から出て埼玉県日高市の市会議員になったようだ。何だか嬉しい!
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