今年のノーベル賞の発表が続いている。アメリカ在住の愛媛県生まれの真鍋淑朗さんが物理学賞を受けた。日本人として誇らしい気持ちがする。
20年ちょっと前から、中国の秦嶺山脈で西安の西北大学の研究者と一緒に金絲猴(キンシコウ)の調査・研究を行った。春休みの年一回か夏休みも兼ねて年2回くらい西北大学に行き、そこから周至という街を通って秦嶺山脈の中腹にある玉皇廟という山村の楊さん宅を基地にして調査が行われた。当時西北大学の大学院生だったC君は京都大学霊長類研究所にも留学し、現在は中国南部の大都市にある有名大学の教授になっていて、2012年に彼のガイドで中国南西部の街を観光し、森・自然・サルを見せてもらった。
2012年8月のキンシコウ調査で
そのC君はキンシコウの調査をしている大学院生の時に、「何故、福田はドクター(博士号)を持っているのに中国の山まで来ているのか?」っとぼくの生き方に疑問を投げた。「ぼくら研究者はドクターであろうとキンシコウの事は何も知らない、キンシコウの事が知りたいから君らと一緒に山の中を這いずり回るのだよ!」と応えたことがあった。
当時のC君にとってはドクターであるなら給料の良い社会的地位を目差すべきだと云うのだ。恐らく、中国の人たちの多くは今でもそうかもしれない。しかし、研究者が社会的優位な位置を求めたら、それはもう研究者ではない。研究者とは自分がやりたい研究ができる場さえあれば良いのだ。
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