前の家のザクロが今年もたくさん稔っている。
ザクロの木が目立つ時季は真夏とこの秋である。
真っ赤な花を盛夏に咲かせ、真っ赤に色づいた実を晩秋につける。
大学に入って始めて、このザクロの実を見た時は、子供の時みた道産子を思い出した。
その馬の片側の大腿部はヒグマの爪に大きく裂かれて、ジクジクした赤い肉が見えていた。
ザクロが晩秋に割れた様子は、まさに活きている動物の肉が引き裂かれたかのようである。
割れたザクロの中の実を一つぶ一つぶ食べたると、甘酸っぱい感触が口いっぱいに広がる。
今、このザクロは道行く人たちが皆眺める。
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