先日、知人の畑の網に絡まって死んでいたハクビシンが若者であって性成熟になっていない個体であることが解った。手持ちのハクビシンの頭骨を成長段階別に上から見ると(図1)、成長と共に口吻部が突き出し、後眼窩突起が発達し、頬骨弓が横に張り出し、矢状縫合が隆起し、項稜が盛り上がっている(図1)。
図1.成長段階別のハクビシンの頭骨上面から
Pp:後眼窩突起(前頭骨頬骨突起) Za:頬骨弓 Sc:矢状縫合 Cn:項稜
A:藤沢市湘南台 2011.01.16 交通事故で怪我♂死 B:藤沢市菖蒲沢 2022.03.07 畑の網に絡まり♀死 C:清川村宮ヶ瀬 2010.05.22 長者屋敷キャンプ場性不明死骸
頭骨を裏側から見ると、Bの畑の網に絡まっていた個体もAのまだコドモと同じように乳歯のままである(図2)。それは下顎の歯も同じく乳歯のままだ(図3)。
図2.成長段階別のハクビシンの頭骨底面から
(図を左クリックすると拡大)Paradoxurus hermaphroditus
図3.成長段階別のハクビシンの下顎骨Paradoxurus hermaphroditus)
AnimalDiversityWebによると日本に生息しているハクビシンは初春と晩秋に交尾季があるようだ(しかし、日本の捕獲業者のHPでは日本では年中あるようだ)。Asiatic palm civetParadoxurus hermaphroditusParadoxurus hermaphroditusParadoxurus hermaphroditusParadoxurus hermaphroditusの妊娠期間は60日くらいだ。そして離乳は2ヶ月で母親から分散するのは生後3ヶ月目だ。1日に2キロくらいまで移動するようだ。性成熟ませ約1年かかる。このAsiatic palm civetとハクビシンの生理機能がほぼ似ていると考えた。交尾季が初春:3月下旬か晩秋:11月下旬とすると、3月下旬に交尾して5月下旬ころに出産し8月下旬ころ分散することになる。一方、晩秋の11月下旬に交尾すると、4月下旬ころ分散することになる。
いずれの場合も見つけた時のA、B個体の状態とは異なる。Aは1月なのに親から離れて動き回っているところを車に轢かれた。母親から離れた直後の個体だとすると誕生後3ヶ月経っているとすると生まれたのは10月と云うことになる。
日本の捕獲業者のHPにあるように、家屋の屋根裏を巣にしているハクビシンは季節に関わらず年中発情・出産している可能性が高い。市街地・農耕地では冬でも食物を得られているからこそ屋根裏に巣を作るのだろう。江戸川区葛西にある周辺がビルだらけの学校にもハクビシンの糞があったが、糞を洗ったらクスノキの種子出てきた。さらに、ツバキのオシベが出てきた。おそらく、彼らはレストランの生ごみも漁っているから都会でも生存可能なのだ。
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