車を奥野隧道口(鳥屋側)のスペースに置く。水沢橋方面には車両通行禁止になっているが、ロープを外して車を入れている人がいる。今日は!と声掛けられる。「通行止めがここになったので車を止めるスペースがありませんネ!」と話しかけると、ニコニコしてそうですね!と応えて車はぼくを追い越して行ってしまった。アノ車は林道ゲート前の水沢橋の前の駐車場に置くのだ!何と要領が良い人だ!通行止めになっているのは県が水沢橋の前の道が崩壊しているので、危険だからという案内であって、その案内を無視して車を乗り入れた場合には自己責任ですよ!っと言うことだ。そうは判っているが、なかなか通行止めを無視して車を乗り入れることはできない。それを彼はやったのだ!っと思いながらゲート前に着いたが車は無い。ん?彼は工事関係者だったんだ。
伊勢沢林道を工事し始めているのかな?あるいは奥野林道の土砂崩れ取り除く工事かな?っと思いながら歩く。松茸山口だ(図1)。ここまで舗装された林道を喘ぐようにして登ってきた。7時半に車から離れてから、何と1時間半もかかっている。頭の帽子をとりさりヘアバンドだ。これだと汗がオデコから鼻を伝って滴り落ちない。
図1.8:32 松茸山口
ん?カヤの実の食痕だ!誰が食べた?(図2&2')。現場ではリスの食痕だ!っと思っていた。しかし、帰宅して図2と図2’と持ち帰った図2’の実を見ていてリスではないと考えた。リスなら食べ方食べる部位が決まっている。この食痕は果皮・果肉が種子から剥がされていたり(図2.右上と左下)、果肉の一部が齧られていたり(図2.左上&図2')、さらには果皮が一部縦に引きちぎられている(図2.右下)。このような好い加減な食べ方、齧り方をするのはサルだ。図2.8:45 カヤの実or種子を食べたのは?
図2'. だれが齧った?
8:50 ぼくを追い越していった車が止まっていた。奥野林道と早戸川林道との斜面の伐採をしているのだ。重機が通る広い道ができている。っと、林道を地下足袋に軽やかな山仕事用の服装をしたスタイルの良い40代くらいの人がやって来た。こんにちは!っと声を掛け合う。
9:10 これから尾根に入ろうとする場所にキャタピラをつけた重機が停まっており、伐り出された杉の丸太が積まれている。丸太に座って、スポーツ飲料を飲み、スパッツを着けていると、先ほどの地下足袋の男性がやって来て、重機に乗り、これから何処へ?っと訊く。ここから尾根を登って姫次ぐまで行きます!っと云うと、そうですよね、舗装された林道を歩くと飽きますよね!っと云って重機にエンジンをかけ山をジグザグに登っていく。凄いものだ。左右のキャタピラを逆回転させて方向転換し、ジグザクに走れるのだ。通常の4輪車では考えられない。
9:16 さぁー、ぼくも登るとする(図3)。重機の道を歩く。6月3日に伊勢沢側から登ってきた時はヒルにやられたし、クマ糞があったのだ。
図3. 尾根への登り口
稜線に着くと、重機の道は伊勢沢側へ、ぼくは尾根を求めて歩く。急な登りなのでイッキに汗が吹き出す。シャツを脱ぐかな?っとも思うがそのままで登る。9:28 下を見ると青い先ほどとは違う重機が停まっている(図4)。だいぶ登ったつもりだが20mも登っていない。伊勢沢側ではチェンソーの音と重機の音が聞こえる。植林地を登る。下は柔らかいので足の踏ん張りが効かない。ようやく、植林地から二次林地に抜け出す。時折の下からの涼風が気持ち良い。まるで、その涼しい風を求めて登っているよう。ヒルが2,3匹頭をもたげていたがやり過ごす。ヒル除け用の飽和食塩水は靴下に噴霧はしてないが大丈夫だろう。が、やはりヤラレテいた。
9:59 登山者が付けたと思われるテープがある(図5)。もう、この辺りでは尾根と云うよりも奥野林道と伊勢沢の間の稜線を歩いているという気持ちになる。
図4. 9:28 下を見る
図5.中央の太い木の右の細い木に赤テープ
10:48 カモシカ糞だ(図6)!813のピークだ。ここで小休憩しているとカモシカのらしき枯れ枝を折る音が聞こえ、ぼくに気が付いたのか慌てて逃げた音が聞こえた。その場に行くと新しいしたばかりの糞があった。図6.カモシカ糞
11:01 鞍部に非常に奇妙なカエデ科の木の枝がある。どうぞここに腰掛けて下さいと感じた。少し腰掛けたが高すぎる(図7)。図7. 不思議な横枝のカエデ(イロハモミジかな?)
「カエデの腰掛け」から60mくらい上がたPeakにカモシカの角砥ぎの痕がある(図8)。さっきのカモシカが角砥ぎしたのだ!カモシカは♂にも♀にも角があり、両性とも同性とは別の行動域を持ち、眼窩線から出る匂を木の枝に擦り付けたり、同性の他個体と争うために角を鋭くするために細い木を角砥ぎに使う。シカの角砥ぎは角がある♂だが、カモシカの角砥ぎは両性ということでOKかな?しかし、どうもぼくには角砥ぎは♂で、♀はあまりやらないのではという偏見を持っている。図8. 11:21 カモシカ角砥ぎの痕
カモシカの角砥ぎがあったPeakは860以上で870以下だ。実は、ぼくはここがガタクリ峰だと思っていた。が、次の860ジャストがガタクリ峰になっている。それは兎も角、ぼくはもう姫次ぐどころか登山道まで行くことを諦めてた。暑い中無理して登ることもあるまい。もう、休むようなペースで歩いている。11:48 アナグマのタメ糞だ。
図8~9. アナグマのタメ糞
写真上に古いタメ糞があり、糞虫に運ばれて穴だけ開いていた
アナグマのタメ糞場から10mくらい上にハエの集るアナグマ糞
12:10 ガタクリ峰に着いた。立派な標識がある(図9)。そして、ポーズ(図10)。ここで40分近く休む。コンビニで買ってきた唐揚げ棒を食べるが4個中2個しか入らない。食べなきゃ力が出ないと思い、オニギリではなくクリームパンを食べる。地図を見てコンパスを合わせ、スマホのGeographicaで現在地を見る。で、決める。次の鞍部を少し過ぎたところで、南に走る小尾根があり、それを辿ると旨く奥野林道に下りられそうだ。もう、このルートしか無い。
図9. 12:10 ガタクリ峰着
図10. 12:26 暑苦しい上下と手袋にスパッツだ
どうも、今風の短パンに半袖というスタイルにはなれない。
でも、それだと涼しいだろうねぇー!
タイワンザル調査でもチンパンジーでも長袖長ズボンだった。
12:50 奥野林道に下る尾根に着く。地図を見、磁石で方向を決める。Geographicaで現在地が間違いないことを確認する(図11)。始めは、なだらかだがすぐ急直下のような岩場がある尾根になり、ん?間違った?Geographicaで現在地を確かめる。地図には岩場は無い。尾根をそのまま下るのは急過ぎて無理なので、沢沿いの方に行き、尾根と沢沿いをジグザグに歩き、岩場を越す。立ち木を捉まりながら下り両腕が疲れるので、小休憩を何度も繰り返す。最後は、上手い具合にイノシシ?シカ?獣道があり、そこを伝って林道に下り立つ(図12&12')。
何と、この尾根(150mの高低差、直線距離約250m)を下るのに1時間以上も掛かっている。急だったので、立木に捉まりながらそれだけ慎重に下ったのだ。
図11. 12:54 この尾根を下る
図12. 13:55 林道に下り立つ
図12'. 降りた林道の場所 左側から下りた
下りる尾根から沢砂防堰堤に水が溜まっているのが見えたので、沢の水で手拭を浸し、身体を拭く、チョー気持ちイイー!手を10秒以上浸けていられない程冷たい。ペットボトルの水を入れ代える。ヘアバンドも何度も洗い絞り、頭につける。シャツも水洗いし絞って着る。
スパッツを外す。外しただけで気持ち良い。左足首にヒルが2匹もいて干乾びて死んでいる。しかし、靴下が血で汚れている。ヒル除け用に飽和食塩水を噴霧して来なかった。が、2匹だけでおさまった。尾根は全国各地で雨被害をもたらしているのに、ここ東丹沢では雨が少ないようだ。山は乾いている。長ズボンの裾をまくり上げる。
図13.ここで手拭を絞って身体を拭く
帰路は膝が痛くならないように、ゆっくりゆっくり歩いて、奥野林道を下った。もう、伐採の人の車は無かった。自転車でもあればすーっと下れるだろうに、小さくて軽くて持ち運び易い自転車のようなブレーキの利く乗り物があればどんなに楽だろう。
車に辿り着いたのは16:36であった。歩いた距離は15.5キロで、9時間も歩いていたことになる。この頃はもの凄く歩くのが遅い。それは学校へ行く時に東京駅から大手町まで歩くとサラリーマンの歩く速さに驚かされる。以前はぼくも歩くのが早かったのに!
図14. 歩いたルートの一部 ②~⑬は図の番号
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