17日の丹沢山付近歩きで見つけたテン糞から出てきた内容物の骨や歯について:
この糞は標高1050m付近の尾根にあった。
テン糞①から出てきた歯や骨片である。
Aはアカネズミかヒメネズミの切歯である。
Bは下顎骨である。Cは臼歯である。DとEは初めはヒミズの切歯かと思った。
Fは頭蓋骨の骨片だ。Gは脊椎骨だ。★は爪だ
B、C、Dを拡大した。
Cの部分の臼歯は4本あり、どれも歯根が2本である。
Bの下顎の歯並びを見るため、縦に並べてボンドで止めた。
この4つの下顎はどれも齧歯目のものでも、トガリネズミ科のものでもない。
当初はヒミズのものかと思ったが、手持ちのヒミズやジネズミの下顎と照らし合わせても違う。
で、唯一の小翼手目のユビナガコウモリの頭骨を見た。
コウモリだ!ヒナコウモリ科Vespertilionidaeの仲間の下顎だ!
ヒミズUrotrichus talpoidesの下顎
ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosusの下顎
イヤ、見れば見るほどわからなくなったのだ。
一番上の写真のDとEは歯は尖っており根本でちょっと小さな突起があり、歯根は1つだ。このような形状を持つ歯は、切歯・犬歯・第一前臼歯に見られる。
ジネズミやヒミズでは切歯となるが、似ていない。もちろん齧歯目は問題外だ。
ユビナガコウモリの犬歯ににているが、さらに下顎を立てた写真のBの臼歯は???
やはり、ヒナコウモリ科ということになるがどうだろうか?
で、阿部永著「日本産哺乳類頭骨図説」北大出版をみた。
Bの臼歯はチチブコウモリやウサギコウモリのものに似ている。
では、★印の爪はヒミズのものに似ているが、誰の爪?
うぅーん、わからない!降参だ!
いずれにしてもコウモリの下顎や臼歯が動物の糞の内容物として見つかったのは初めてだ。
テンに食べられたコウモリは、テンが登れてあるいは跳び上がって捕まえられるような洞穴に潜んでいたのであろう。となると木の洞穴か!
このテンは、切歯からアカネズミ属、爪からヒメorヒミズ、下顎と臼歯からヒナコウモリ科の動物を食べたと思われるが、、、、。
あー、脊椎骨が出ているので、それも合わせて考えなければいけない。
しかし、脊椎骨から目(Order)の違いさえまだまったくわからない。
「犠牲者は誰だ?アウトドア探偵の糞探し」には哺乳類も不確実、まだまだですね。
2 件のコメント:
コウモリのホネ、骨格標本以外では初めて見ました。先日、奈良にある「コウモリ博物館」に行き、担当者からコウモリ愛にあふれる解説をたっぷり聞いてきたばかりです。
ブログに登場したコウモリが何コウモリかはサッパリわかりませんが(アブラコウモリくらいしか見たことないです^^;)、洞窟にいるコウモリ(キクガシラコウモリあたりかな??)だと、弱ってきて地面に落ちたコウモリがテンやイタチに食べられるそうです。冬眠時にはエネルギーのやりくりがうまくいかず、冬を越せない個体も多いと聞きました。
コウモリは食虫類から進化したと聞いたことがありますが、ホネを見ていると何となく似ていますね。
千葉にある石切り場跡がコウモリの巣になっている洞窟に入ると、下はコウモリの糞でふわふわしてしており、糞に埋もれて死んでいるコウモリもいました。アオダイショウをその洞窟で見ましたがテンやイタチが入ってもコウモリは落ちたコウモリなら捕まえられるが天井に止まっているのはとても無理ですね。でも、テンたちがコウモリ洞窟の存在をしらない筈がないので、冬を越せない個体を狙って時々出入りしているのかもしれませんね。
ぼくはオオコウモリの顔はキツネザルに似ているので、サルの祖先とコウモリの祖先は近縁だと思っていました。
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