友人のY.Narita氏から、さまざまな骨が送られてきた。その中で秩父産のツキノワグマの下顎を張り合わせ、欠けている歯を探して上下の頭蓋骨を完成させた。
上面からの頭骨比較 左:秩父産 右:岐阜産
明らかに秩父産の頭骨は全体としても小さい。が、大きな違いは秩父産の側頭骨の横への張り出しが少ないため左右の頬骨弓間の幅が狭くなり、上から見た頭骨がまるでキツネやタヌキの頭骨ように細く感じる。さらに、後眼窩突起から矢状縫合の方に伸び隆起(側頭稜)もほとんど無い。
これらの二つの頭骨の違いはどうしてなのだろうか?なお、両者とも歯が全て出そろっている。また、左右の鼻骨、前頭骨、頭頂骨などの縫合状態もほぼ変わらない。
1)性差、2)年齢差(ではない)、3)地域差、4)個体差 が考えられる。獨協医科大の哺乳類頭蓋の画像データベースhttps://dept.dokkyomed.ac.jp/dep-/macro/mammal/jp/mammal.htmlのツキノワグマを見てもわからず、しかし、阿部永著「日本産哺乳類頭骨図説」(北大)の図のヒグマの性差から、Narita氏からもらった秩父産の個体はメスであり、今まで持っていた岐阜産の頭骨はオスだと判った。
クマは食肉目の動物なのに、頭骨にこれほどの性差があったとは驚きだ(ぼくが知らなかっただけだが、、)。左右の頬骨弓間の幅が広くなるオスは、それだけ分厚い咬筋や側頭筋を持っていると云うことが解かる。サルやシカ、イノシシなら頭骨の性差はあるが、食肉目の頭骨であるなんて、、、。同じ目でイヌ、タヌキなどの食肉目の頭骨を見てみよう。
1 件のコメント:
食肉目のイヌやタヌキはイヌ科なので、一夫一妻の性関係なので頭骨の性差は見つからないだろう。と思った。しかし、一夫多妻のカイネコやアナグマやテンはどうかな?
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