日本の齧歯目は移入種のヌートリア科、ネズミ科、リス科、ヤマネ科の4科が生息する。これら齧歯目の眼窩下孔はリス科とヤマネ科を除いて大きい。特にヌートリア科の眼窩下孔は眼窩かと思う程の大きなものだ(図6)。
先ず、ネズミ科から見てもらおう(図1&図2)。ハタネズミとアカネズミの眼窩下孔だ、頭骨全体の大きさからすると眼窩下孔がこれまでにアップしてきた食肉目(但しアナグマ除く)、有蹄類、霊長類、ウサギ形目その他に比べると大きいのがすぐ判る。これだけ大きな孔なので神経や血管以外にも他のモノが走っていると想像できる(図1、1’&2、2’)。
図1.ハタネズミMicrotus montebelli頭骨斜め前方からの眼窩下孔→
図1’. ハタネズミ頭骨正面からの眼窩下孔↓
図2.アカネズミ頭骨の側面からの眼窩下孔→
図2’. アカネズミApodemus speciosus頭骨正面からの眼窩下孔↓
しかし、リス科、ヤマネ科では大きな孔ではない(図3、4&5)。図3.ムササビPetaurista leucogenys頭骨右正面からの眼窩下孔←
図4.タイワンリスCallosciurus erythraeus頭骨正面からの眼窩下孔↓
図5.ヤマネGlirulus japonicus 頭骨正面からの眼窩下孔↓哺乳類頭蓋の画像データベースから
ヌートリアになると巨大な眼窩下孔になる(図6)。ネズミたち(図1&図2)の眼窩下孔も大きいが、ヌートリアやセンズイ(タンガニーカ湖畔のトングエ族の言葉でCane ratの事)は眼窩か?と見間違うほど大きい。
図6.巨大な眼窩下孔をもつセンズイ(ヨシネズミ)Thryonomys swinderianusとヌートリアMyocastor coypus
これらの眼窩下孔には下顎骨の上顎骨と下顎枝前縁とを結ぶ内側咬筋が通っている(図7の下欄の2亜目)。図7.齧歯目の頭骨と内側咬筋AnimalDiversityWebから
左上と右上:ヤマビーバー、ヤマネ、リスを含むリス形亜目
左下:ネズミなどのネズミ形亜目 左下:ヤマアラシ、チンチラなどのヤマアラシ形亜目齧歯目から
ネズミ、齧歯目の系統分類を見ていると、ただ一つ言えるのはヤマネやリス、ムササビの仲間はかなり早い時代に他の齧歯目と分かれたようだ。
さぁー、今日は、廊下にある頭骨を乗せている棚が埃だらけなので綺麗にしよう。何年振りの掃除かな?
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