口吻の長い偶蹄類では眼窩下孔の位置が眼窩前縁と前顎骨先端との中間辺りであった。が、センザンコウやオオアリクイでは眼窩前縁の直ぐ近くである。ノウサギやイワハイラックス、アジアゾウの眼窩下孔は殆ど眼窩前縁の直前である。
図1.ノウサギLepus brachyurusの頭骨左前方からの眼窩下孔↓
図2.イワハイラックスHeterohyrax brucei頭骨左前方からの眼窩下孔↓
図3.アジアゾウElephas maximusの眼窩下孔→の位置
図4.パラワンセンザンコウManis culionensis頭骨左側面からの咬眼窩下孔→
図5.オオアリクイMyrmecophaga tridactylaの頭骨正面(上)からの眼窩下孔↓と左側面(下)からの眼窩下孔→
どうして、有蹄類、特にシカやカモシカの眼窩下孔が眼窩前縁からかなり前にあるのか興味深い。それはシカ、カモシカの仲間は上顎の切歯が無く、葉や草を食べる時は下顎の切歯や切歯状に並んだ犬歯とともに歯の無い上顎で挟みとっていることと結びついているだろう。つまり、歯の無い口先まで感覚を鋭くしているだろう。上顎の切歯が無いことで噛み取る草や葉、あるいは小枝の固さなどに注意を払っているとも云える。しかし、センザンコウやアリクイが口吻が長く歯が無いにも関わらず眼窩下孔が眼窩の側にあるのは、食物が長い舌で舐め取るアリの仲間なので、舌には神経が集中している可能性があるが、口腔内の前方の皮膚に神経を集中させる必要がないのだと思える。
0 件のコメント:
コメントを投稿