前回アップした齧歯目の内側咬筋の図1では、鼻骨に近い上顎骨に起因する内側咬筋が眼窩下孔を通って下顎骨の臼歯と下顎枝の間まで伸びている。齧歯目の下顎骨をあらためて見ると、食肉目のネコの下顎骨と臼歯との位置が違っている(図1)。
ネコでは臼歯は下顎骨上に並んでいる。が、ネズミでは下顎骨はネコと同じV字状であるが、左右の臼歯は内側に入り込むように平行して並んでいる。そのため、臼歯と下顎枝との間に隙間ができている(図2)。つまり、ネコの歯槽骨は下顎骨の真上に乗っているが、ネズミの歯槽骨は下顎骨から内側にずれ、しかも臼歯の歯槽骨は後退し下顎枝の前を通り超している(図1&2)。
図1.オオヤマネコLynx lynx(左)とアフリカオニネズミ(右)の下顎骨
図2のこの赤線の溝に眼窩下孔を通ってきた内側咬筋がへばり着き、この咬筋によって齧歯目特融の切歯の咬む力が強くなるのだ。
図2.アフリカオニズミCricetomys eminiの臼歯と下顎枝との間の溝(赤線)
アフリカオニネズミばかりでなく、この臼歯層が、下顎骨からずれて内側に入り、さらに後退しているのは内側咬筋が眼窩下孔を通らないリス科にも見られる(図3)ので、齧歯目の特徴のようだ。
図3.アメリカモモンガGlaucomys volansの臼歯と下顎枝
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