日本に生息するイヌ型亜目の動物はアザラシなどの鰭脚類を除いて、イヌ科、イタチ科、アライグマ科、クマ科の動物たちが生息する。今回は、これらのイヌ型亜目の動物たちの臼歯をアップした。
先ず、イヌ科(イヌ、キツネ、タヌキ)の頬歯を見てもらう(図1)。
図1.イヌ科の頬歯 左:イヌ 中:キツネ 右:タヌキ
イヌ科の歯式は3・1・3-4・2であり、イヌ、キツネ、タヌキとも前臼歯4本の先は尖り、第四前臼歯が裂肉歯になっており、2本の臼歯の内第二臼歯は小さい。これらのイヌ科動物の第一臼歯はアナグマやテンの臼歯に見られたような平べったいものではなく、外側の尖がりは裂肉歯の後部の尖がりと同じ高さからそれ以上である。
図2.イタチ科の頬歯 左:イタチ 中:テン 右:アナグマ
イタチ科の歯式は3・1・3-4・1・1であり、前臼歯はイヌ科同様尖っているが、イタチを除いてテンもアナグマも裂肉歯よりも臼歯の方が大きく潰れて平たい。図3.アライグマ科 アライグマの頬歯
アライグマの歯式は3・1・4・2であり、裂肉歯となる第四前臼歯は臼状の咬合面のなっている(図3)。まるで、前臼歯と臼歯が三本づつのようだ。
図4.クマ科 ツキノワグマの頬歯
ツキノワグマの歯式は3・1・4・2であり、裂肉歯も含め前臼歯は四本とも小さい。臼歯は2本とも大きく特に最後位の臼歯はそうとうに使用頻度が高いようだ。
イヌ型亜目の動物たちは、イタチを除いて臼歯の使用頻度が高そうだ。イタチ科のテンもアナグマも臼歯は1本であるが、大きく広い咬合面をもち、植物とくに果実食時に使用されていそうだ。アライグマ科、クマ科は大きな臼歯が2本もあり、裂肉歯もやや臼歯であり、肉よりも植物食が主と見られる。イヌ型亜目の中ではイヌ科とアナグマを除くイタチ科の動物だけが裂肉歯が発達している。これらの動物たちは小動物を襲って食べているのだ。
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