食肉目イヌ亜目イヌ科タヌキの頬歯はどうだろうか?前臼歯は4本でどれも尖っており、中でも裂肉歯cは大きい。2本の臼歯はその噛面がサルやイノシシの臼歯のようである(図1&1')。
図1.タヌキNyctereutes procyonoidesの頬歯
図1'.タヌキの裂肉歯cと臼歯m1&m2
タヌキと似ているアナグマの頬歯はどうだろうか?アナグマの裂肉歯は小さく第一臼歯の半分も無い(図2&2’)。これでは食肉目イタチ科の動物と云えども例えノウサギを捕まえたとしても肉を引き裂くことは難しい。精々、カエルかヘビくらいなものだろう。裂肉歯を含む3本の前臼歯を合わせた大きさより、この大きくて平べったい臼歯は随分大きい。この臼歯は堅い外骨格を持つ昆虫や節足動物などを磨り潰すことができるだろう。
図2.アナグマMeles melesの頬歯と裂肉歯c
図2'.アナグマの裂肉歯cと臼歯m
このタヌキとアナグマで食べられて排出された糞が彼らの頬歯の違いを表わしている。タヌキとアナグマもほぼ同じような物を食べる。が、その糞の形状などには大きな違いがある。タヌキの糞は俵型であり(図3)、糞を0.5ミリメッシュの茶漉しで水洗いすると節足動物の外骨格や果実の種子などが形として残っる。しかし、アナグマの糞はクマ糞と似て泥状であり(図4)、節足動物や果実の種子などが形が不明になるくらい潰され、残渣と残るものは僅かである。これらの糞の形状や残渣の違いは、アナグマの大きな平たい臼歯mや腸内消化に因るものと考えられる。図3.タヌキ糞
図4.アナグマ糞
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