霊長類の後眼窩突起は頬骨前頭突起と癒合して眼窩輪を形成し、直鼻亜目真猿型下目では眼球の回りが骨で覆う眼窩が形成される(図1&2)。つまり、真猿型下目のサルの眼球は骨で出来た眼窩と云う壺に納まっているのだ。
図1.ニホンザル頭骨上から
○:眼窩 △:側頭窩 f:前頭骨 p:頭頂骨 ●:後眼窩突起
▲:頬骨前頭突起
図2.アカコロブス頭骨正面から
〇:眼窩 f:前頭骨 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
眼窩という壷を作っている骨は、①前頭骨、②頬骨、③上顎骨、④涙骨、⑤蝶形骨である。
曲鼻亜目ロリス科のサルでは眼窩輪が形成されるが、眼窩と側頭窩の間には仕切りがない(図3&4)。図3.スローロリス頭骨上から
〇:眼窩 △:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
図4.スローロリス頭骨正面から
○:眼窩 ●:後眼窩突起 △:頬骨前頭突起
同じように曲鼻亜目キツネザル科のサルも眼窩輪が形成されるが、眼窩と側頭窩の間には骨による壁は無い(図5&6)。図5.ワオキツネザル頭骨上から
↓:眼窩 △:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
図6.ワオキツネザル頭骨正面から
○:眼窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
ぼくは少し思い違いをしていたようだ。それは、眼窩輪の形成は後眼窩突起が長く伸びて頬骨前頭突起と癒合すると思っていたのだ。が、サルたち眼窩輪を見て認識が間違っていた事に気が付いた。後眼窩突起が伸びるよりも頬骨前頭突起の方が伸びてくるのだ。
哺乳類の大半が嗅覚で食物を獲っているのに対し、サルは視覚で食物を獲っている動物である。そのため、目が眼窩輪で守られ、さらに真猿下目では眼球が壷状の骨で守られている。目がこれほどしっかり骨で守られるのは真猿下目の狭鼻猿(ニホンザル、ヒトなど)、広鼻猿(タマリン、クモザルなど)だけである。
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