翼種目の後眼窩突起を見ると、齧歯目のように後眼窩突起が無いものと有るものがいる。果実食のオオコウモリの仲間には後眼窩突起があり、もう少しで頬骨前頭突起と接して眼窩輪が形成されそうだ(図2)。しかし、エコーロケーションしていると思われるユビナガコウモリたちには後眼窩突起がない(図1)。オオコウモリはエコーロケーションしないで夜に飛び回ることができる。哺乳類は一部のサルの仲間を除いて大半が夜行性だ。月明かりの白黒の世界だが視覚で識別できるのだ。モモンガやムササビが夜中に木の間を滑空するのと同じだ。
図1.ユビナガコウモリMinopterus fuliginosus頭骨上から
図2.オオコウモリPteropus sp.頭骨上から
○:後眼窩突起
しかし、どうしてオオコウモリの仲間には後眼窩突起があるのだろう。ジャワ島で見たオオコウモリはまだシルバールトンたちが果実を食べているところにギャーギャー飛んできてサルを追い払って果実を食べていた。昼間には大半が大きな木の枝にぶら下って休んでいるが、休み場所が無いのか直射日光が当たって暑いのかコウモリはゆっくりと飛び回っていた。オオコウモリは食べ頃の熟した果実は匂いで見分けているのだろう。が、発達した後眼窩突起と眼窩が前方を向いていることは視覚でも果実を見つけ、飛び回るのに視覚が大きく働いていることを物語っている。
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