この4日間、タヌキの頭骨を並べて見ていて、どうしても理解できない事があった。それは、タヌキの下顎骨付きの頭骨をテーブルに置くと、十中八九、後頭骨(大孔)部分が上がる、それはキツネの頭骨との大きな違いでもある(図1)。
図1.左:キツネVulpes vulpes 右:タヌキNyctereutes procyonoidesの頭骨左側面から
キツネの後頭部が落ち、タヌキの後頭部は上がる
それが、タヌキの頭骨の中で、一つだけどうやっても後頭骨部分が落ちてしまうモノがあった(図2)。どうしてこれだけが後頭部が下がるのか、下顎骨の問題かなと思い、下顎骨を取り換えてもどうしても後頭部が下がる。この理由がどうしてかいろいろ眺めても不明だった。図2.タヌキN.procyonoidesの下顎骨付き頭骨を後ろから
左から4番目のモノだけ後頭部が下がる
何のことはない、この頭骨だけが第一前臼歯が無いのだ。あったものが欠落したのではなくて左右の第一前臼歯が欠損しているのだ(図3の左)。つまり、歯式が3・1・3・2になっている。その為に頭骨の前部が軽くなったために後頭部が下がると考えられる。大雑把だが一因となるだろう。図3.タヌキの底面からの頭骨 左:左右の第一前臼歯が欠損 右:4対の前臼歯が揃う
尚、この頭骨のタヌキは2011年12月に植物写真家の鈴木庸氏から死体を貰ったものだ。手持ちのタヌキの頭骨標本では、1990年11月鶴川で拾った個体の左の第一前臼歯が欠損しているが、この頭骨の後頭骨が下がることはない。
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