羅臼岳で20代の登山者がエゾヒグマに襲われて死亡した。2頭の子持ちのメスだったようだ。先日、釧路に帰省している時に「ひょうたん池」(鶴ヶ台公園)で檻に入っていたヒグマの話しで、兄貴夫婦と話しが盛り上がった。そのヒグマは立ち上げれば檻の天井の鉄格子に突きそうなくらい大きかった。その大きな身体と口から涎を垂らした迫力から、子供心にヒグマは怖いという印象を持った。また、夏休みのキリギリス獲りで、牧場内に腹を裂かれて死んでいる牛や、片方の尻の肉が剝ぎ取られている馬を見た時は、ヒグマの獰猛さを知った。
そんなヒグマを見ていたので、サル調査でツキノワグマに出会っても恐ろしい感じはしなかった。当時の調査での山歩きではナタを常時腰に下げ、背のザックにはブッシュを切り開くためにナタの柄が1メートルくらいあるものを付けていた。そして、首には双眼鏡をぶら下げていた。そんな姿なので、山中でナタを手に持った山人に出会うと怖かったものである。だから、できるだけ早く声を互いに掛け合った。背のナタは、腕くらいの太さの木なら2,3度振り下ろすだけで切り倒すことができた。
ヒグマに比べるとツキノワグマは小さく、突進されてきても登山靴で蹴とばして、相手にダメージを与えられるという感じがした。ましてやこちらナタを持っているので、十二分に太刀打ちできると考えていた。一方、ヒグマは遠方にヒグマを見ただけでもう身体を隠すか、その場から立ち去りたいと思わせた。知人の動物写真家が大雪山でヒグマが密生したハイマツの上をまるで海の波を渡るように移動している姿を撮ったのを見た時は、ヒグマに狙われたなら逃げる事もできない事を知った。
一度、日光山麓で、落とし檻で捕まったツキノワグマに麻酔薬を打つために、檻の中のクマをスギの棒を使って抑えようとしたが、その棒をクマがバリバリと咬んだのには度肝を抜かれた。以来、ツキノワグマの力強さに一目置くようになった。
だが、エゾヒグマの力強さとツキノワグマでは、とても比べられない。その獰猛さも相まってエゾヒグマとツキノワグマは同じクマ属であるが、大きさも獰猛さも全く異なる。いずれにしてもエゾヒグマはもちろんの事ツキノワグマにも注意してもらいたい。
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