ずーっと不思議に思っていた齧歯目の切歯前面の色の経年変化(黒→茶褐色→白)が、歯の表面のエナメル質に含まれる鉄分が、空気に触れることによって黒から白に変る事だとGPT-4に教えてもらった。恐らく正しいだろう。
図1は、2007年頃のヌートリアの上下の切歯を正面から撮ったものだ。下顎切歯が真っ黒で、上顎の切歯は黒から白に移りつつある。それが、2024年になると下顎の切歯が茶褐色に上顎切歯は白っぽくなっている(図2右)。一方、ケーンラットは30年近く前にタンザニアのマハレ山塊NPの焼け野原に転がっていた頭骨を拾ったものだ。しかし、現在も上下の切歯とも茶褐色もままだ(図2左)。この違いがどうしてか判らなかったので、GPT-4に訊いたのだ。
ヌートリアの切歯のエナメル質の鉄分は表面上のもの(特に上顎切歯)だが、ケーンラットはエナメル質の内部まで鉄FeやマンガンMnが沈着して歯が強化されているようだ。鉄Feは酸化状態によって、黒(Fe²に近い)→赤褐色(Fe³酸化鉄)→白っぽく見えるようだ。これがヌートリアの歯の色の経年変化だ。
図1.ヌートリアの上下の切歯の前面、2007年6月
図2.ケーンラット(左)とヌートリア(右)、2024年11月
切歯の鉄Feを含むことで歯を強化しているようだが。切歯は一生伸び続ける歯だ。臼歯は磨り減るだけで、伸びて来ない。進化の過程で考えると臼歯にFeやMnを含有するようにした方が、有効ではなかったのではないだろうか?どうして、伸び続ける切歯を強化するためにFeやMnを含有するようになったのだろう。しかも、前面のエナメル質だけにだ。ちょっと割り切れない。
でも、トガリネズミの全ての歯の先端が歯の強化の為にFeが含まれるために赤褐色であることは判る。やはり、齧歯目の切歯前面のエナメル質のFe含有は理解できない。
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