ぼくが持っているサルの寛骨で左右の寛骨が癒合しているものは一つもない。老♂の寛骨でも癒合していない(図1&1')。full adult maleはもちろん左右の寛骨や仙骨はバラバラだ(図2&2')。
図1.老ニホンザルMacaca fuscata♂の背側から見た寛骨
図1’. 老ニホンザル♂の腹側から見た寛骨
図2.full adultニホンザル♂の背側から見た寛骨
仙骨や左右の寛骨は恥骨部分でボンド
図2'. full adultニホンザル♂の腹側から見た寛骨
他にもいくつかニホンザルの寛骨標本を持っている。が、左右の寛骨が恥骨結合しているのは皆無だ。しかし、イヌ、タヌキ、テン、ネコ、イノシシ、シカ、カモシカの寛骨は左右の寛骨が恥骨結合しているモノがある。これはどう考えたら良いのだろう。
サルは出産の時に新生児を通過できるように寛骨の恥骨部分が開くのだろう。サルの恥骨部分は終生「軟骨性結合(繊維軟骨性)」であり、出産時に左右の恥骨間がわずかに広がり頭の大きな胎児が産道を通ることができるようだ。これは、ヒトをも含む霊長類に共通した恥骨結合であるようだ。
ちなみに老衰で死亡したスローロリス♂の骨盤を見た(図3)。
図3.スローロリスNycticebus coucangの骨盤
仙骨や左右の寛骨は恥骨部分で木工ボンドで着けている
このスローロリス♂も左右の寛骨は恥骨で癒合してはいなかった。スローロリスも胎児は大きな頭を持って産道を通ってくるのだ。ヒトを含む霊長類の骨盤の恥骨は恥骨結合しているが、この結合は繊維性軟骨のようだ。が、イヌ、ネコ、シカ、イノシシの恥骨は左右の恥骨の骨同士が癒合している。そのため、サルの晒骨された骨盤は左右の寛骨が離れているのだ。
何故、サルの骨盤の恥骨はイヌやネコのように骨同士で癒合しないのか?ChatGPTに訊いて見ると、サルの仲間の胎児の頭が大きいので、産道を通る時に、繊維軟骨で結合している恥骨部分がわずかに広がるようだ。
でも、それなら、何故小さな頭を持つ胎児を産むように進化しなかったのだろう。サルは他の哺乳類より身体に比べて脳が大きい事が影響していて、脳を納める脳幹部分が大きい事が恥骨が癒合してない理由だろう。
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