ぼくはイエネコの頭骨を5、6個持っているが、半分以上は知人・友人たちからの贈り物だ。八日市に居たMは引っ越しの時に飼っていて行方不明になっていたネコ♂を縁の下で白骨化した死体となっているのを見つけ、送ってくれた。各務原に居るWは散歩中に道路際で干乾びているネコの白骨死骸を送ってくれた。Mが飼っていたネコ♂は何か悪い物でも食べて縁の下で死んだわけだが、まだfull adultには達していないようで♂なのに矢状隆起の盛り上がりが少ない(図1)。Wが拾って送ってくれたネコは歯や頸椎に異常(奇形)が見られた。WのネコはMのネコに比べると凄く小さい。両方とも乳歯が全て出揃ってはいるが、Mのネコ♂は頭頂骨が癒合しているが、左右の前頭骨は癒合していない。一方Wのネコは頭頂骨もまだ縫合性が判り、コドモのネコである。
ネコの頭骨の大小は成長段階を表わしているんだ。
図1.ネコFelis catusの大きな頭骨(左)と小さな頭骨(右)
次に、やまぼうしさんYから貰った老齢化したイエネコとMのネコを比べてみる(図2)。Yのネコは上顎の犬歯が摩耗し、左側は半分くらいになっている。また、左右の寛骨が恥骨結合している。さらにYのネコは左右の頭頂骨が癒合し矢状隆起がはっきり判る。両者を見比べるとYのネコの方が頬骨弓が横に張り出しているのが判る。ネコは歳をとると頬骨弓が張り出るので、ますます顔は丸く見えるのだ。図2.Y(左)とM(右)のネコ
さらに、Mの子ネコとさらに小さいネコ(八王子郊外のキツネの巣穴付近で専門学校の学生MYが見つけた。このネコはWの子ネコと同じ大きさの歯をもっている)の頭骨を比べた(図3)。図3.Wの子ネコ(左)とMYの子ネコ(右)
図3の両個体も頭頂骨や前頭骨の縫合線が判り、Wの子ネコの方は少し矢状縫合や項稜(頭頂骨と後頭骨の境目の隆起)が隆起しているが、MYの子ネコは矢状縫合の隆起が見られないし、項稜の隆起も少ない。何よりもWの子ネコは頬骨弓がMYのコネコに比べて横に張り出ている。また、Wの眼窩がMYの眼窩より正面を向いている。イエネコの頭骨は左右の頭頂骨には矢状隆起が見られず、成長するにつれて眼窩が正面を向き、頬骨弓が横に張り出してくる。永久歯をもつ頃には矢状縫合は隆起し始め、項稜も隆起し頬骨弓の張り出しも大きくなる。
尚、MYがキツネの巣穴付近で見つけたネコは、生後間もない個体でまだ母ネコの保護を必要としたが、親の留守の間にキツネに見つかって捕食されたものと思われる。この子猫に右下顎骨は見つかっていない。
子ネコの方が顔が丸くて小さいと思っていたが、子ネコの方が親猫よりも顔の横幅が狭いのだ。大きくなるにつれて頬骨弓が張り出して丸みを帯びてくるのだ。これは、他の食肉目や偶蹄類とは違った結論になる。
0 件のコメント:
コメントを投稿