アナグマの頭骨の下顎骨は左右の骨が癒合していることがある。そのため、下顎骨が上顎骨から外すことができない(図1)。当初はアナグマの老個体が左右の下顎骨が癒合していると考えていた。そして、きっと左右の下顎骨が癒合して一つになっている場合、老齢なので左右の寛骨も恥骨結合で癒合していると思っていた。しかし、残念ながら左右の下顎骨が癒合して上顎骨から外れない頭骨は2個しか持っていなく。それらは山で見つけ(図2)、寛骨をも見つけることはできなかった。
図1.アナグマMeles melesの下顎骨が関節窩から外すことができない
図2.アナグマの骨 癒合している下顎骨 鳥屋待沢左岸で20111209
下顎骨と寛骨が揃っている机の周りの標本を調べると、下顎骨と寛骨のどちらかが癒合しているモノは2例あり、2例とも寛骨が癒合し、下顎骨は癒合してなかった。それは、タヌキ(図3)とネコ(図4)である。図の下顎骨はボンドで接着している。さらに、専門学校の学生から江戸川区で見つけたという癒合した寛骨を貰っている。手持ちのモノでは、下顎骨が癒合しているのはアナグマの2例だけである。*但し、サルやイノシシの仲間ではアカンボウでも左右の下顎骨が癒合している。図3.八日市のタヌキNyctereutes procyonoides 寛骨が恥骨結合している
図4.清川村のネコFelis catus 寛骨が恥骨結合している
上図のタヌキとネコの頭骨を見ると、矢状隆起が発達し、後眼窩突起の部分も盛り上がり、ネコでは犬歯が摩耗しているので、老齢個体だと判る。しかし、タヌキでは犬歯や他の歯の顕著な摩耗は見られないし、前頭骨と頭頂骨との冠状縫合も判るので、老齢個体だとは云えない。そうするとこのタヌキの左右の寛骨の癒合はどう考えたら良いのだろう。ネコは老齢化したために寛骨が癒合したのだろう。また、このネコは♂かもしれない。しかし、タヌキはまだ老齢化していないが、寛骨が癒合している。
ここまで来てから、手持ちのタヌキの標本を更に見た!次回に!
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