若いキノボリハイラックスは頭頂骨は癒合しているが、前頭骨は縫合したままであった。他にハイラックスのような頭骨の動物はいないか、頭骨棚を見るまでもなく、トイレに置いて居るコドモのカモシカやコドモがシカがそうである(図1)。実は、カモシカとシカは性成熟を過ぎても左右の前頭骨は縫合するだけ癒合はしない(図2)。
図1.上面からの子供のカモシカCapricornis crispus(左)と子供のシカCervus nippon(右)の頭骨
f:前頭骨 p:頭頂骨
性成熟を過ぎても左右の前頭骨が癒合しないのは、カモシカもシカも毎年角が成長するからだろう。それはハイラックスの後眼窩突起が成長するのと同じことであり、前頭骨から出る角も成長につれて発達するからだと思える。そのため、前頭骨と頭頂骨の冠状縫合もオトナになっても癒合しないのだ。
図2.上面からのオトナのカモシカCapricorunis crispus(左)とオトナのシカCervus nippon(右)の頭骨
カモシカやシカは角があるからこそ、左右の前頭骨は性成熟を過ぎると癒合してガッチリしたものになりそうな感じもするが、そうではないのだ。これは驚きだ。オスジカやカモシカは繫殖期に角を突き合わせて押し合う。前頭骨がしっかり癒合しているよりも、縫合状態の方が衝撃を和らげられるのだろう。
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