「特定秘密保護法反対」

「特定秘密保護法」、「集団的自衛権」に反対します。憲法第9条をしっかり守りましょう。教育勅語の教材活用は間違いだ!

自由であっても、他人の生まれ、身体、性別、年齢、故郷、風習、宗教、民族、国を差別する、小馬鹿にする、冒涜するのは許されない。

原発不要・核廃絶


2025年1月20日月曜日

齧歯目の頬骨                  Jugal of rodentia

 前回モグラやアカネズミの頬骨を見た。モグラでは細い針金状であり、アカネズミでは頬骨弓の中程に少し頬骨があるだけだった。アカネズミでは頬骨が欠損していた。ラットやリスの仲間の頬骨も晒骨にした時に欠損しているものが多い(図1&2)。頭骨を腐らしてから水洗いするときに頬骨を紛失してしまうのだ。上顎骨mと側頭骨s(図1参照)との間の細くて薄い木片状の骨片の頬骨がある。

図1.ラットRuttus norvegics頭骨の左側面から
m:上顎骨 s:側頭骨
図2.キタリスSiurus vulgaris頭骨の左側面から
m:上顎骨 s:側頭骨
どうも、ぼくらの感覚からすると図1,2のmは頬骨っと思ってしまう。
では、ヤマネはどうだろう。
図3.ヤマネGlirulus japonicus頭骨の左側面から哺乳類頭蓋の画像データベースから
この個体の右の頬骨は欠損している。図3の写真では拡大しても頬骨が不明確だが、ネズミやリスの例から推定して頬骨部分を青色で塗ってみた(図3’)。
図3’. ヤマネの頬骨(青色)
ハムスターをみた。頬骨側頭突起が側頭骨の関節窩まで伸びている(図4)。ハムスターの頬骨はネズミ、リス、ヤマネと違って厚みを増している。頬骨がさらに幅がでて厚くなったのがヌートリアのものだ(図5)。さらに、ヌートリアの頬骨は眼窩の前縁にまで達している(図5)。
図4.ハムスターCricetinaeの頬骨(青色)
図5.ヌートリアMyocastor coypusの右側面頭骨の頬骨(青色)

2025年1月19日日曜日

動物たちの頬骨         Jugal of mammals

頬骨弓は頬骨側頭突起と側頭骨頬骨突起が接して癒合した頬骨と側頭骨が弓状に張り出た部分である。真無盲腸目のトガリネズミ科とモグラ科の頭骨の違いは頬骨弓の有無が述べられている(阿部永、「日本の哺乳類」東海大出版)。とすると図1のアズマモグラの頬骨弓(a~bの部分)であるので、頬骨はaの部分辺りから弓の中程までの細い部分であろうか? aの前部は上顎骨に当たる。
モグラ科の頬骨弓は細く太さ(幅)は1ミリにも満たない。
図1.アズマモグラMogera woguraの頭骨左側面からの頬骨弓
a~b:頬骨弓と思われる部分
齧歯目のネズミ科のネズミたちの頬骨弓は骨にすると頬骨弓の中辺りの骨が消失してしまうことが多い(図2)。
図2.アカネズミApodemus speciosusの上から見た頬骨が欠けた頭骨
m:上顎骨 s:側頭骨
つまり、ネズミ科の頬骨は見た目の頬骨弓の中辺りに位置する(図3)。図2のアカネズミの頬骨弓の欠けた部分が頬骨である。ネズミ亜科のアカネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミの頬骨は、上顎骨や側頭骨との接合部分がしっかり癒合していないので欠落しやすい。
図3.スミスネズミEothenomys smithii頭骨の左側面からの頬骨(青色部分)
2023年9月26日の図3のスミスネズミの頬骨側頭突起→と側頭骨頬骨突起←の部分は上顎骨と頬骨との癒合部分です。ごめん!間違っていた。

何だか、頬骨の部分にすっかりハマってしまった。思い違いをしている事もあり、色々気づかされる。

2025年1月17日金曜日

ミノムシが、、、                Bagworm , , ,

今朝、パソコン台に置いている挿し木したマランタにミノムシがぶら下がっているのに気が付いた。コヤツ一晩で葉の半分を食べたようだ。どんな蛾になるのかな?
ネットで検索したら、ミノガ科(Psychidae)のオオミノガ、チャミノガの幼虫で、大半の種では♀の成虫は翅や脚を持たないようだ。幼虫はバラ科、カキノキ科やサツキ等の葉を食べ、摂食後の枯葉や枯枝を粘性の糸を絡めて、袋状の巣を作ってから枝にぶら下るようだミノムシ - Wikipedia
ふーん、じゃー机の上のコヤツは?鉢に庭の土を入れたのは昨年の10月くらいだ。すでにその時にミノムシになっていて土と一緒に鉢に入れられたのだ。それが、ノコノコ這い出してきて、このマランタを食べ始めたのだ。観葉植物のマランタ(クズウコン科)を食べるとはミノガ科の幼虫は食草に強いこだわりはないと思える。

判っていても見誤る Even if I know it, I still mistake

前回はハヌマンラングールの頬骨に癒合する骨を見てもらった。 

図1はマハレの焼け野原で見つけたセンズイ(トングエ名、Cane rat)と高梁市の農家で撲殺されたヌートリアです。彼らの頬骨はどこの部分の骨かわかりますか?ヌートリアは死体をそのまま送ってもらったので、頭骨はかなり崩れていた。そのため、何か所もボンドで接着したので、難しいと思います。

図1.センズイThryonomys swinderianus(左)とヌートリアMypcastor coypusの頭骨左側面から
サルやヒトの眼窩下孔は眼窩の下の上顎骨にある小さな孔だ。しかし、センズイやヌートリアの眼窩下孔は一見眼窩と見間違えるほど大きい。では、図1と図2の図を見て彼らの頬骨がすぐ判りますか?
図2.センズイ(上)とヌートリア(下)の頭骨左側面から
図3.センズイ(上)とヌートリア(下)の頭骨左側面からの頬骨
頬骨:青色の部分 →:涙骨
頬骨を青線で囲んだ。恐らく多くの方々は図3の眼窩下孔の外側の②を頬骨かな?っと思ったのではないかと思います。
②で囲まれた孔が眼窩下孔である。眼窩・側頭窩は前縁を涙骨→、頬骨、上部を前頭骨①、後縁を側頭骨③で囲まれる。

図3のようにマウスを使ってはみ出さない様に色塗りするのは大変だ。きっと素晴らしいソフトがあるのだろう。

2025年1月15日水曜日

頬骨と癒合する頭骨の骨         Skull's bones that fuse with the zygomatic bone

それぞれの動物たちの脊柱の骨や肋骨は誰が見てもそれが脊柱の骨か肋骨の骨かは見定める事ができる。が、上下肢の骨になると少し難しくなる。一方、頭骸骨そのものはどこの骨が明白だ。しかし、頭蓋骨を形作る個々の骨になると少し違ってくる。後眼窩突起(前頭骨頬骨突起)を見比べていて、頬骨の形状に大きな違いある事が見えてきた。

先ず、頬骨を見てもらおう。

図1.ハヌマンラングールの頭骨右側面から
骨の縫合線が見えづらい場合はクリックして図を拡大して!
図1’. ハヌマンラングールの頭骨右側面から見た頬骨
頬骨:青線で囲った部分
ハヌマンラングールの頬骨は上部は前頭骨①と癒合し、前面では上顎骨②と癒合し、側頭骨内では蝶形骨③と癒合し、側頭骨の外側は側頭骨頬骨突起④と癒合して頬骨弓を作る(図1&1’)。
図2.ハヌマンラングール頭骨正面斜め上から
図2’. ハヌマンラングール頭骨正面斜め上から見た頬骨
頬骨:青線で囲った部分
ハヌマンラングールの頬骨は前部外側の上部では前頭骨①の眼窩突起と癒合し、下部では上顎骨②と癒合し、頬骨側頭突起は側頭骨頬骨突起④と癒合する。眼窩内部では、上部は前頭骨①と蝶形骨③と癒合し、下部では上顎骨②と癒合する(図2&2’)。
図3.ハヌマンラングール頭骨右前方下から見た頬骨
図3’. ハヌマンラングール頭骨右前方下から見た頬骨
距骨:青線で囲った部分
右前方下からみると、頬骨弓は上顎骨②と癒合し、側頭窩内では蝶形骨③や外側では側頭骨頬骨突起④と癒合し、前頭骨①と上部で癒合する。
いずれにしても、頬骨は前頭骨①、上顎骨②、蝶形骨③、側頭骨④の4つの骨と癒合することが分かる。

2025年1月14日火曜日

シカとキョンの後眼窩突起窩⑥         The postorbital process of Japanese deer and Reeves' muntjac

偶蹄類のイノシシ(ブタ)は頑丈な後眼窩突起はあるものの頬骨前頭突起と癒合しなかった。が、カモシカはしっかり癒合して眼窩輪を形成している。カモシカ(ウシ科)と同じ反芻類であるニホンジカもカモシカと同じように後眼窩突起化と頬骨前頭突起が癒合して眼窩輪が形成される(図1,2&3)。が、眼窩と側頭窩の空間は遮る骨が無い。
図1.ニホンジカCervus nippon頭骨上面から
左:♂ 右:♀
図2.ニホンジカ♂頭骨左側面から
〇:後眼窩突起 ↓:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
図3.ニホンジカ♂頭骨正面から
●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起

図4.キョンMuntiacus reevesi頭骨上面から
2005年11月陝西省双廟子自然保護区事務所で
図5.キョン頭骨左側面から
○:眼窩 △:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起

図6.キョン頭骨正面から
このキョンは陝西省で農家のイヌが食べていたのを取り上げた
○:眼窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭
鯨偶蹄目の中ではウシ科やシカ科のような反芻類の他にアルパカやビクーニヤのようなラクダ科も眼窩輪が形成される。しかし、イノシシ、カバ、鯨類は眼窩輪は形成されない。

アオサギとコサギが冷たい引地川で立ち続ける      A gray herons and a little egret continue to stand in the cold Hikichi river

昨日、散歩で引地川沿いを少しだけ下った。カモたちが増えてきたようだ。堰の所でアオサギじっと水面を睨んでいた(図1)。同じく少し離れた所でコサギが魚を狙っていた。
カモたちは泳いだり潜ったりして水草を食べているが、サギたちは動かずに冷たい川に足を漬けながら川の中の小魚を狙っている。サギたちの方が体力の消耗が少ないように思うが1日に何匹くらい小魚を得てどの位のカロリーを得ているのだろう。
図1.アオサギ

図2.コサギ
しかし、サギたちは冷たくないのだろうか?室温は18度でもぼくはこうやってキーボードを打つ手は冷たいので、指先が出る手袋をしている。もちろん散歩の時も手袋は欠かせない。それなのにサギは平気で足先を冷たい水に浸けている。
鳥の足にはワンダーネットという仕組みがあって、動脈と静脈が絡まって、足先で冷たくなった静脈が心臓に戻る時に絡まった動脈で温められるため身体が冷えないようだが。それでも足先は冷たいだろう。冷え性のぼくは、カモやサギたちに同情しちゃう。

2025年1月13日月曜日

ブタとカモシカの後眼窩上突起⑤          The postorbital process of boar-pig hybrid and Japanese serow

日本に生息する偶蹄類はイノシシとカモシカ、シカそれと千葉県で今問題になっている移入種のキョンがいる。
イノシシの代わりにイノブタの頭骨をアップする(図1&2)。後眼窩突起が伸び、頬骨からの前頭突起も伸びている。しかし、接触するまでには至らない(図1&2)。
図1.イノブタSus crofa-S.domestrica頭骨上から
○:眼窩 △:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
図2.ブタ頭骨左側面から
○:眼窩 △:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:側頭骨前頭突起
赤い実線:頬骨側頭突起 赤い破線:側頭骨頬骨突起
頬骨側頭突起は側頭骨頬骨突起の下にスライドし、側頭骨頬骨突起の先端と頬骨側頭突起が接したところから、頬骨は前頭突起に分かれる。

カモシカの後眼窩突起窩と頬骨前頭突起は癒合して、眼窩輪が形成される。しかし、眼球が収まる眼窩と側頭筋などが走る側頭窩とは一緒の空洞である(図4)。
図3.カモシカ頭骨右斜目側面から
〇:眼窩 ↓:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
図4.カモシカ頭骨正面ちょっと上から
〇:眼窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
眼窩を通して後ろが見える。

2025年1月12日日曜日

霊長類の後眼窩突起            ④Postorbital process of Primates

霊長類の後眼窩突起は頬骨前頭突起と癒合して眼窩輪を形成し、直鼻亜目真猿型下目では眼球の回りが骨で覆う眼窩が形成される(図1&2)。つまり、真猿型下目のサルの眼球は骨で出来た眼窩と云う壺に納まっているのだ。

図1.ニホンザル頭骨上から
○:眼窩 △:側頭窩 f:前頭骨  p:頭頂骨 ●:後眼窩突起
 ▲:頬骨前頭突起
図2.アカコロブス頭骨正面から
〇:眼窩 f:前頭骨 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
眼窩という壷を作っている骨は、①前頭骨、②頬骨、③上顎骨、④涙骨、⑤蝶形骨である。
曲鼻亜目ロリス科のサルでは眼窩輪が形成されるが、眼窩と側頭窩の間には仕切りがない(図3&4)。
図3.スローロリス頭骨上から
〇:眼窩 △:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
図4.スローロリス頭骨正面から
○:眼窩 ●:後眼窩突起 △:頬骨前頭突起
同じように曲鼻亜目キツネザル科のサルも眼窩輪が形成されるが、眼窩と側頭窩の間には骨による壁は無い(図5&6)。
図5.ワオキツネザル頭骨上から
↓:眼窩 △:側頭窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起
図6.ワオキツネザル頭骨正面から
○:眼窩 ●:後眼窩突起 ▲:頬骨前頭突起

ぼくは少し思い違いをしていたようだ。それは、眼窩輪の形成は後眼窩突起が長く伸びて頬骨前頭突起と癒合すると思っていたのだ。が、サルたち眼窩輪を見て認識が間違っていた事に気が付いた。後眼窩突起が伸びるよりも頬骨前頭突起の方が伸びてくるのだ。

哺乳類の大半が嗅覚で食物を獲っているのに対し、サルは視覚で食物を獲っている動物である。そのため、目が眼窩輪で守られ、さらに真猿下目では眼球が壷状の骨で守られている。目がこれほどしっかり骨で守られるのは真猿下目の狭鼻猿(ニホンザル、ヒトなど)、広鼻猿(タマリン、クモザルなど)だけである。

2025年1月11日土曜日

ナキウサギに眼窩上突起が無いGPT-4の答え              The answer of GPT-4 for an-orbiral upper process in pika

 アナウサギやアマミクロウサギの頭骨に見られる眼窩上突起(がんかじょうとっき)は、眼球やその周辺の筋肉を保護する役割を果たしています。一方で、ナキウサギ(ピカ)にはこの眼窩上突起が発達していない、あるいは欠如していることが知られています。その理由には以下のような生態的および進化的な要因が関係していると考えられます。

1. 生息環境の違い

ナキウサギは主に高山や寒冷地帯の岩場に生息しています。これらの環境では、開けた草原に住むアナウサギやアマミクロウサギのように、肉食動物から頻繁に追い回されるリスクが低いと考えられます。そのため、眼窩上突起を必要とするほどの眼球の保護機構が進化的に発達しなかった可能性があります。

2. 視覚の重要性の違い

ナキウサギは、主に鳴き声や音によって仲間とコミュニケーションを取ります。視覚よりも聴覚が重要な役割を果たしているため、眼窩上突起が発達する必要性が低かったのかもしれません。

3. 捕食圧と防御戦略の違い

ナキウサギは捕食者に対して隠れる戦略をとります。岩場や隙間に素早く隠れることが防御手段として効果的であり、眼球の物理的保護を高める構造が進化的に重要視されなかった可能性があります。

まとめ

ナキウサギに眼窩上突起がない理由は、彼らの生息環境や生活様式に適応した進化的特徴と考えられます。捕食圧の低さ、聴覚重視のコミュニケーション、そして隠れる戦略などが要因として挙げられるでしょう。

ノウサギの頭骨
ちょっと眼窩上突起が見づらいかな?

今朝、GPT-4にアナウサギに眼科上突起が無い事を訊いた。驚いた!ぼくよりも優れている!この答えを5秒もしないで出してくる。考える事の面白さを奪われるから、安易にチャットGPTに答えを求めない方が良いネ!

2025年1月10日金曜日

動物たちの後眼窩突起③              ③Postorbital process of Lagomorpha

ウサギ形目の後眼窩突起はどうかな?前頭骨から眼窩・側頭窩に庇(ひさし)状の張り出しが前後にある(図1:前を前眼窩上突起、後を後眼窩上突起と名付けられている)。この後眼窩上突起が伸びて頬骨前頭突起と接するようになれば後眼窩突起と名付けても良い筈だが、、、。ノウサギを見たら、前眼窩上突起が短く、後眼窩上突起が長い(図2)。これは殆ど後眼窩突起化と云える。しかし、面白い事に頬骨前頭突起の兆候が見られない(図3)。
図1.カイウサギOryctolagus cuniculus
赤線で囲った部分は前後の眼窩上突起
図2.ノウサギLepus brachyurus
赤線で囲った部分は前・後眼窩上突起
多くの哺乳類では頬骨側頭突起と側頭骨頬骨突起が接したところで、頬骨前頭突起が上に盛り上がるのだ。しかし、ウサギの仲間では頬骨側頭突起はそのまま頬骨の下側に接しながら伸びていき、外耳孔に接しそうになっている(図3)。
図3.ノウサギ頭骨左側面から
赤い実線:頬骨側頭突起 赤い破線:側頭骨頬骨突起

で、気になって奄美大島の野生生物保護管理事務所のAkemiYoshida氏から送付されてきたアマミノクロウサギの写真を見た。これでは図1にあるような前眼窩上突起がなく、尖った後眼窩上突起だけである(図4)。これはもはや後眼窩突起だ。やはり頬骨側頭突起は外耳孔の方まで伸びている(図4)。
図4.アマミノクロウサギPentalagus furnessi
A.Yoshida氏より
赤線で囲った部分は後眼窩上突起

では、ナキウサギは?哺乳類頭蓋の画像データベースを見た(図6)。
 
図6.ナキウサギOchotona hyperborea哺乳類頭蓋の画像データベースから
赤線で囲った部分は側頭骨頬骨突起

ナキウサギの一見眼窩のように見えるのは、眼窩前縁と側頭骨頬骨突起と頬骨弓に囲まれた部分である。

しかし、ウサギ形目の前・後眼窩上突起は他の動物の後眼窩突起と発生起源は同じものだろう。ウサギは外敵に対しては聴覚と視覚、さらには嗅覚で認識しているのだろう。ぼくは後眼窩突起は眼球を保護するために発達したと考えているので、ウサギの前後の眼窩上突起もやはり眼球の保護のために発達したものだと考えられる。では、どうしてナキウサギにはそれらの眼窩上突起が無いのだろう。鳴く事と関係しているかな?ChatGPTに訊いたらどうなるかな?誰か訊いてみて!

2025年1月9日木曜日

翼手目の後眼窩突起②                 ②Postorbital process of Chiroptera

翼種目の後眼窩突起を見ると、齧歯目のように後眼窩突起が無いものと有るものがいる。果実食のオオコウモリの仲間には後眼窩突起があり、もう少しで頬骨前頭突起と接して眼窩輪が形成されそうだ(図2)。しかし、エコーロケーションしていると思われるユビナガコウモリたちには後眼窩突起がない(図1)。オオコウモリはエコーロケーションしないで夜に飛び回ることができる。哺乳類は一部のサルの仲間を除いて大半が夜行性だ。月明かりの白黒の世界だが視覚で識別できるのだ。モモンガやムササビが夜中に木の間を滑空するのと同じだ。

図1.ユビナガコウモリMinopterus fuliginosus頭骨上から
図2.オオコウモリPteropus sp.頭骨上から
:後眼窩突起
しかし、どうしてオオコウモリの仲間には後眼窩突起があるのだろう。ジャワ島で見たオオコウモリはまだシルバールトンたちが果実を食べているところにギャーギャー飛んできてサルを追い払って果実を食べていた。昼間には大半が大きな木の枝にぶら下って休んでいるが、休み場所が無いのか直射日光が当たって暑いのかコウモリはゆっくりと飛び回っていた。オオコウモリは食べ頃の熟した果実は匂いで見分けているのだろう。が、発達した後眼窩突起と眼窩が前方を向いていることは視覚でも果実を見つけ、飛び回るのに視覚が大きく働いていることを物語っている。

2025年1月8日水曜日

動物たちの後眼窩突起(前頭骨頬骨突起)①           ①Postorbital process (process zygomaticus of frontal) of Eulipotyphala and Rodentia

 もう、1月8日だ。何故か新年から子供の頃飼っていたエスの事を思い出す事が多く、イヌの頭骨を見ることが多くなった。

ここでは、後眼窩突起についてアップしたい。後眼窩突起とは前頭骨から出て頬骨に向かう突起である(図1)。そのため前頭骨頬骨突起とも云われる。

図1.キツネVulpes vulpesの後眼窩突起
真無盲腸目のトガリネズミ科やモグラ科(図2)、さらにはハリネズミ科の小田原近辺にいるハリネズミ(図3)にも後眼窩突起は無い。
図2.左:ジネズミCrocidura dsinezumi(トガリネズミ科) 右:ヒミズUrotrichus talpoides(モグラ科)
ジネズミ(トガリネズミ科)は頬骨弓も無い
図3.ハリネズミErinaceus sp.(ハリネズミ科)哺乳類頭蓋の画像データベース

齧歯目では、ネズミ科(図4)やヤマネ科(図5)及びヌートリア科(図6左)は後眼窩突起は無い。しかし、リス科(図6右)は後眼窩突起をもつ。
図4.ハタネズミMicrotus montebelli(ネズミ科)には後眼窩突起無し
図5.ヤマネGlirulus japonicus(ヤマネ科)哺乳類頭蓋の画像データベース後眼窩突起無し
図6.左:ムササビPetaurista leucogenys(リス科)右:ヌートリアMyocastor coypus(ヌートリア科)
:後眼窩突起

真無盲腸目には後眼窩突起は無いが、齧歯目ではリス科にはある。後眼窩突起は視覚を大事にする動物にあるのだろうと想像できる。

前頭骨は気になる頭蓋骨だ。この前頭骨からは後眼窩突起の他に反芻類のシカ、カモシカでは角という真上に伸びる突起も出ているのだ。