白銀林道沿いの林の中のフクロウのペリットをバケツ一杯くらい持ってきた。
当日、皆で目に見える大きな骨を取り出してビニール袋の隅に置いた(下)。
これらは誰の、どの部位の骨なのか、
皆、知りたいだろうと思い昨日は朝から今までずーと見て、分類した。
骨①
これらは全て鳥の骨と卵の殻である。
鳥の骨については大体のところしかわからない。
左の骨は手羽にあたる部分の骨で、右上は大腿骨がつく骨盤にあたる部分で、その左に大腿骨の部分がある。下の板状の骨は竜骨の部分のものだ。
骨②
A・B・D・Eはモグラの骨であり、Cはヒメヒミズかもしれない。
Aはモグラの4個の上腕骨である。Bの底面からの頭骨はモグラで、その右二つの下顎骨もモグラのものだ。Cはトガリネズミ目の下顎骨であるが、ヒミズよりも小さくジネズミのものよりもはるかに大きいので、ヒメヒミズの可能性が高い。
Dはモグラの橈骨であり、Eの4個はモグラの尺骨である。
F・G・Hはネズミ科の骨である。
Fはハタネズミ亜科の動物の下顎骨と歯である。
Gはネズミ亜科の左上顎骨と第二臼歯及び右下顎骨と臼歯だ。
Hは3本ともネズミ亜科の切歯であり、左の2本が左下顎のもので右が右上顎のものである。
枠外のものは肋骨と不明骨である。
骨③
上段が大腿骨で、中断が脛骨と腓骨、下段が左から肩甲骨、寛骨、上腕骨と尺骨である。
大腿骨:右2個がモグラ、中央の長いのはネズミ科やトガリネズミ目のものではない。
下段の肩甲骨は左がヒミズで、右がネズミ科のものだ。寛骨は左がヒミズで、右はネズミ科のものだ。上腕骨はネズミ科のものだ。右の尺骨もネズミ科の尺骨だ。
関東に生息するトガリネズミ目はモグラ科とトガリネズミ科であり、モグラ科は骨②のAで示したように上腕骨が厚く大きく扁平であり、特徴がある。下顎骨も齧歯目とは明らかに異なる。
齧歯目はリス科、ヤマネ科、ネズミ科が生息するが、歯を探していないので、
また、ヤマネやリス科の骨を標本として持っていないので、肩甲骨、上腕骨、橈骨などの大きさや形の特徴がまったく判らない。ただ、アメリカモモンガやシマリスと比べてみても、骨③のものはいずれも非常に小さいので、リス科の動物の骨は今のところ見つかっていない。
ただ、ヤマネ科のヤマネはアカネズミやハタネズミよりも小さいので、上腕や尺骨、脛骨は小さいと考えられるので、骨③に含まれているかもしれない。
さー、これからが大変だ。白銀林道のフクロウはネズミ科の動物は全て食べているだろう。モグラやヒミズも食べているんだからトガリネズミ科の動物も食べていることになる。
ホオジロやメジロとは比べものにならないくらい大きな鳥を食べている。
フクロウは食べるのではなく丸ごと飲み込むようなので、一つ一つのペリットがあると
食べた動物の歯や骨の特徴を知ることができる。しかし、今回は巣穴の底に溜まっていたものを掻き出したので、さまざまな生き物の骨が混在していることになる。
全ての骨や歯を一つ一つ同定するの大変なことなので、せめて、何種類の哺乳類、両性・爬虫類、鳥類の骨が出てくるのかそれを楽しみに調べてみることにしよう。
”Animal Tracks and Signs"Oxford Univ.Pressにはフクロウのペリットの中にイタチの頭骨がそのままで出てきている。
フクロウは夜中に動き回る自分より小さなものなら何でも丸飲みするのだ。
どんな骨が出てくるか楽しみだ。