哺乳類の後肢は寛骨と大腿骨、それに脛骨と腓骨が連なり、足根骨、中足骨、基節骨、中節骨、末節骨となっている(図1)。寛骨に大腿骨が接しているのが判る。そして脛骨と細い腓骨が大腿骨に膝の部分で接している。
さて、ここで問題にするのは脛骨と腓骨だ。腓骨はこんなに細くてどんな役に立っているのだろうか?拡大すると判りやすいが、腓骨は脛骨の上方部分で接し、足根骨の上の外側で接している。ぼくらの足で確かめることができる。右足の膝の右外側に出っ張りが腓骨の上部の先端であり、足首の外側の踝(くるぶし)が腓骨の下部の先端だ。内側の踝は脛骨の末端だ!
図1. 右側面からのイヌの下半身の骨格2018年6月
TCA専門学校で
ここで、イヌ科のタヌキの脛骨と腓骨を見てみよう(図2)。図2はまだ腓骨が脛骨にしっかり付着している時に乾かした。もっと腐敗すると腓骨と脛骨は離れる(図3)。但し、図3の個体は図2の個体より若い。膝に相当する脛骨の骨端が骨端軟骨部分から剥れたのをボンドで貼り合わせた。腓骨の骨端は剝れ落ちて無い。図2.前からのタヌキの脛骨2011年12月清川村で轢死、IS氏より
左:右腓骨・脛骨 右:左脛骨・腓骨
図3.前からタヌキの脛骨・腓骨2018年11月清川村で轢死
この腓骨は膝から下の脚のどのような役目を持っているのか?当然、体重を脛骨と共に支えてもいるだろう。それよりも脛骨と腓骨の二本の骨が大腿骨から下(遠方)にあることによって、膝から下を足首含めて内側や外側に向けたりできる。これが脛骨だけだと膝から下は後ろに折り曲げることしかできない。腓骨があることによって足首はさらに左右に動かせることになる。
しかし、タヌキの腓骨は細く、しかも脛骨にほとんど密着しているので、腓骨だけの動きが制限されている。つまり、イヌやタヌキの足はぼくらヒトのように足先を内側に向けたり外側に向けたりすることが難しい。でも、図3のタヌキのように若ければまだ骨端がしっかり脛骨に付着していないので足首を内外に動かすことは可能だろう。
次回は脛骨と腓骨が、脛骨の中ごろで癒合・合体しているウサギのものを見てもらう。
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