反芻類のシカやカモシカの草食獣、さらにウサギの顎関節を見てきた。反芻類の下顎窩は幅広く後方に関節後突起があり、下顎を前後左右に動かすことができる。ウサギは下顎窩は小さく側頭骨と頬骨弓との細い骨の後ろにあり、下顎頭の前が当たっていたが、ウサギの下顎頭は前後に長く、下顎を下顎窩を越えて前後に動かす事ができる。
では、イワハイラックスも草食獣なので顎関節を見よう(図1)。この標本はドイツ人の若者のFGから貰ったものだ。下顎窩の後ろの関節後突起が大きいのでこれ以上後ろには動かない。が、上下の歯を咬み合わせているのに下顎頭は下顎窩の溝には届かない。しかし、この溝は斜めについているので、実際は下顎骨を左にずらした時に接する。これは、ハイラックスの下顎骨はサルやイノシシ、ゾウと同じく生まれながらに左右は癒合合体している(図3)からだ。下顎骨を前に動かすと下顎窩の前方の平な面(図2)を移動するが、側頭骨頬骨突起の外側の壁(←)に下顎頭が滑るようにして前にでる。
図1.イワハイラックスProcavia capensisの顎関節(赤線で囲む)
図2.イワハイラックスの下顎窩の平な前方(●)と外側の壁(←)
下顎頭が左右に長く、外側は太く内側が細い(図3)。左に下顎を動かせば左の下顎頭の細い内側が下顎窩の溝に入ることになる。こうやって、切歯(1/2)で切り取った葉や枝を頬歯(7/7)で噛み砕くのだ。
しかし、この顎関節の構造、さらに下顎頭から下顎角まで下顎枝の異様とも思える幅広さ(図1)、そこの内外に付着する咬筋との関係を知りたい。
図3.イワハイラックスの左右癒合合体した下顎骨
図4.イワハイラックスの下顎頭(〇)
ハイラックスの頭骨の大きさはウサギの1.5倍くらい大きい。が、シカやカモシカとは比べ物にならない程小さい。ハイラックスの頭骨はウサギやシカ、カモシカとは比べ物にならないほど頑丈だ。アナグマ並みにがっしりしている。岩穴を棲み処としているハイラックスの頭骨が何故このように頑丈なのか、相当固い葉や樹皮を齧っているのだろうか?
顎関節の構造がこんなにも複雑とは考えもしなかった。動物たちは何十万年、何百万年もの世代を通じての生存して、進化してきた現在の骨格としての構造がある。それぞれの生態に応じた構造が出来上がってきているのだ。いろいろ興味は尽きなく広がっていく。




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