今回アップした動物たちは鯨偶蹄目の反芻亜目、シカ科(ニホンジカ)(図1&2)とウシ科(ニホンカモシカ)(図3&4)である。両種の下顎の切歯は上向きに前に突き出している。実は前回アップした真無盲腸目、齧歯目やウサギ目も同じだ。是非見て欲しい!このように上向きに突き出すことによって上顎との間に食物を咬み取りやすく、挟みやすくなる。あるいは、下顎の切歯が上向きに突き出していることにより、地面に生えている植物を根本から剥ぎ取りやすくなるし、それは樹皮を剥ぐにも都合が良い。下顎の前方に出た切歯と地面との関係を図5のイノシシで示す。
図1.ニホンジカの下顎骨の切歯
切歯が4対のように見えるが、3対は切歯で1対は犬歯だ!
図3のカモシカの下顎も同じ。
図2.ニホンジカCervus nippon左側面からの頭骨
図3.ニホンカモシカの下顎骨の切歯(右の第一切歯と犬歯が欠落)
図4.ニホンカモシカCapricornis crispusの右斜め前方からの頭骨(下)
イノシシの下顎の切歯は地面をシャベルのように掘るのにも適している(図5)。これがヒトの下顎の切歯のように上向きなら地面を掘ることは難しい。ここではニホンザル(図6)で、下顎切歯と地面との関係を表わそうと思ったが、殆ど下顎体を垂直にしなければ切歯は地面とは平行にならない。
図5. イノシシSus scrofaの下顎切歯と地面を接した場合
図6.サルMacaca fuscataの下顎切歯と地面との関係
ヒミズもラットもウサギ、シカ、カモシカ、イノシシの下顎の切歯は前に突き出しているが、それは彼らの草食(地面に生える草を食べる)においてはサルの切歯ように上に出るよりも適している。サルは地面に出る草を食べる時は手で毟る。
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