「特定秘密保護法反対」

「特定秘密保護法」、「集団的自衛権」に反対します。憲法第9条をしっかり守りましょう。教育勅語の教材活用は間違いだ!

自由であっても、他人の生まれ、身体、性別、年齢、故郷、風習、宗教、民族、国を差別する、小馬鹿にする、冒涜するのは許されない。

原発不要・核廃絶


2012年12月27日木曜日

「北限に生きる -A2-84群-」  The record of Japanese macaques in the Shimokita Peninsula

昨日、今年最後の授業があった。
26日に授業があるなんてはじめてだ。
クリスマスが過ぎているのに学生が来るんだろうか?心配であった。
ぼくが学生の頃は、クリスマス前に冬休みに突入していた筈だ。
正月を故郷で迎えようと帰省する者、スキー旅行に出かける者、バイトに精を出す者で、12月に入ったらもう学校は閑散としたものであった。
いつもの電車で日吉の駅に下りたら、学校へ向かう学生たちがいる。
教室に10分前に行く、10人前後の学生がいた。
今年度のこの授業は250名の履修者がいるのだが、出てきていたのは
30名若の学生たちであった。
先週の授業はニホンザルやチンパンジーの乱婚的性関係の話しだったので、
昨日は、ビデオ「北限に生きる」を観てもらった。
このビデオはもう20年前にフジテレビの番組として猿年に向けて製作したものである。
毎月、1、2回下北半島の脇野沢村に通い、
A2-84群というニホンザルの群れを追った1年間の記録である。
プロデューサーのAokiさんは、「フクダさん、山がない、山や谷の場面が欲しい」
と呑むたび、通うたびにぼくに注文をつけた。
「自然の動物たちを相手にするときは、出来る限り多く見て、カメラを回すことです」
とぼくは毎回オウム返しのように応えた。
大晦日からお正月の朝にかけて、全てが完成した。
その時の喜びは今でも忘れられない。
論文書きは一人の作業であり、完成しても自分一人だけの喜びだ。
だが、テレビ番組の完成は、番組に関った全ての人たちの喜びであり、
その嬉しさは論文書きの比ではない。
番組が好評を得たので、ビデオとなった。
さらにロンドンで行われた科学番組に参加するために、
英語版まで作られた。
 
ぼくが、監修し、毎回のように重い三脚をもったりして群れを追いかけた。
40代の頃であったので、当時はまだ山を走れた。
バブルが弾ける直前だったので、お金がふんだんに使われた。
 
昨日、学生たちとこのビデオを見ながら一瞬、当時のぼくの姿が出てきて、
あー、20年前はあんなに柔らかな動きをしていたんだと感慨に耽った。
また、番組の最後に語られている、サルによる野荒らし、他のマカク属との雑種化の問題などは、
20年経った今でも日本各地のニホンザルで解決されていない。

2012年12月25日火曜日

再び出てきたヤマネの臼歯   The molars of a dormouse were included, again.

12月21日伊勢沢林道で、イタチ糞1個、テン糞10個の糞を拾ってきた。
 
下の表の上段は、糞中の内容物の全てをあらわす。サルナシやキブシの種子や果皮つき果肉などが糞に含まれていたかどうかを+で表す。量や部位は問題にしていない。
①~⑩はテン糞を示し、〇はイタチ糞である。
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  サルナシ キブシ オオウラジロノキ 節足動物 ミミズ゙ アカネズ ヤマネ 
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
①                                      +    +
②   +                                  +      
③   +                      +          +
④   +    +                  +           + 
⑤   +
⑥   +    +                            +
⑦         +       +                                                    +
⑧                                             +                +                                   
⑨   +
⑩   +
〇                           +
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
     7    3        2         3     1     6           1
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
    
        サルナシが11個の糞中7個に見られた。また、キブシやオオウラジロノキも
        2、3個の糞に含まれていた。ミミズを含む動物は8個からでてきた。さらに、
        6個の糞からアカネズミのものと思われる歯や骨片、毛がでてきており、①では
        ヤマネの臼歯もふくまれていた(下の写真)
①のテン糞から出てきた骨や歯(大半を占めた毛は除く)

 
上の歯茎と臼歯がヤマネのものだ。
下、アカネズミのものと比べてみてください。 
上の歯がヤマネかリスかの判断は、上写真の臼歯4本の歯冠の長さが
4ミリちょっとしかないため、ヤマネとした。手持ちのリスでは8ミリある。
これらのヤマネやアカネズミの歯が出てきた糞は、キツネ糞かと思える
程、毛の塊であった。
 今回、伊勢沢林道を久しぶりに歩いたことでいくつか気がついたことがあった。
1)糞に入っていたのはネズミ科ではアカネズミであって、どうしてハタネズミ亜科のネズミはないの?2)半分近くの糞にヤマネを含めてネズミなどの哺乳類が含まれているが、果実が少ないために捕獲するのに難しい餌食物を狙わなくてはならないのか?それとも今の時季は小哺乳類は捕まえやすいのかな?3)今冬は2)で述べたように果実の実生りが全体に悪いのかな?
   
 
4ミリ尚、ヤマネ(Glirulus japonicus)の下顎臼歯の歯冠の長さは3.8mmとなっている。Wahlert,J.H.,Sawitzke,S.L.&  Holden,M.E.1993 Cranial Anatomy and Relationships of Dormice (Rodentia, Myoxidae), Novitates, American Museum(No.3061),32pp


2012年12月24日月曜日

ケンポナシは無かった! No havenia seeds there was!

12月21日伊勢沢林道歩きでの、テン糞①~⑩とイタチ糞〇の位置
①から③までの林道沿いの山側にケンポナシの木が何本か生えている。
林道上にケンポナシの果実は見当たらず、また木にもなっているのが確認できなかった。
 
テン糞10個とイタチ糞1個を洗った。ケンポナシの種子はどの糞からも出てこなかった。
テンは木に登れるので、ケンポナシの実があれば登って食べる筈だ。
やはり、今年はケンポナシは不作だったということだろう。
それと、今年はキブシの果実も不作だったのかな?
と云うよりも、他の果実の実生りがどうも良くはなかったのではないだろうか?
だから、11月頃から早くもキブシを食べる動物たちが出ている。
今回のテン糞の中の幾つかは、キブシの種子が混じっている。
しかし、その種子の数があまりにも少ない。
ほんの少ししかキブシは実をつけなかったようだ。
厳冬期の食肉目の食糧源が少ないのは心配だ。
今冬は寒さが一段と厳しいし、餌も満足に食べられなかった野生動物たちは、
来春3月下旬くらいにたくさん餓死するかもしれない恐れがある。
これが杞憂に終われば良いが、、、。

クズの豆を食べる動物はいるの? Are there any animals that eat the beans of Kudzu?

 12月14日の伊勢沢林道の続き:
林道沢側の木々にはクズの蔓がたくさん絡まり、
これに鞘に毛がついた豆がたくさんぶら下がっている。
 一つの鞘に2、3個の豆が入ったものから10個くらい入ったものもある。
クズは、初夏の花はサルたちが食べ、冬季には根をサルやイノシシが食べる。
この豆はサルたちが食べているのを見たことがないが、きっと食べることもあるのだろう。
まだ、クズの種子を動物の糞の中に見つけたことがない。
クズは地中に根が残っていればそこから繁殖していくため、現在、クズ根や蔓や葉、茎を利用しなくなったため、どんどん蔓延っている。
種子も大きいのと小さいのがあって、大きいのはすぐ発芽するが、小さいのは、森が切り払われるまで、何年でも休眠して待っているようだ。こまりもののクズだが、その蔓延は人の生活が変わったからに他ならないようだ。

2012年12月23日日曜日

リスのテーブル  Tha table for a squirrel.

12月21日伊勢沢林道の続き:
伊勢沢林道の終点まで行き、沢におりて一口水を飲み、そこで戻ることにした。
ヘアピンカーブを曲がって下りながら、沢沿いのキブシの様子を見ながら歩いた。
キブシの実はもう落ちてしまったのかな?
 
ん?オニグルミの殻がこんなにもいっぱいある。
誰か人がまとめて置いたようだ。
リスがここで、オニグルミの堅い種子を食べたんだ。
まるで、リスのテーブルだ。
ここで、毎日のようにカリカリとクルミを回しながら殻を割っているのだろう。
そんな食べている様子を見たいものだ。
21日は、LumixのGF5とGH1を持った。
GF5でウンチや近くのものを撮り、GH1はボディに望遠レンズを装着している。
これだと、レンズ交換せずにすぐ取り出して写せる。
沢にちいさなちいさなミソサザイがいたが、小刻みに動き回りぼくの腕では無理だった。
帰路ようやく朝日が当たりはじめ空気が緩んできた。
 
昨日、今年最後の実習を上野の東京都美術館でやった。土曜日なのでスゴイ混みようだった。
ぼくは、流されるように歩いて、3度も見て回った。
午後から上野の森美術館でツタンカーメン展を見た。これは子供や家族連れなので、
入場を制限されながら動いた。3千円は高すぎる。
 
夕食後、風呂から上がると携帯に電話だ。
元タンザニアJICA事務所長の平川潔さんからだ。
タンザニアでお世話になった富田浩造さんが亡くなったというのだ。
先月2日、西八王子で会ったばかりだ。
「富田さんを偲ぶ会」のようなものを来年4月に行うので、発起人の一人になった。
富田さんは海外青年協力隊の若者たちからも慕われていた。
アルーシャの家にはいつも協力隊の若者が集まっていた。
ぼくが、マハレ山塊国立公園に行くために尽力してくれた西田さんと富田さんの二人を
この1年半で失うことになった。

2012年12月22日土曜日

イノシシはフジの根が好き! A wild boar like to eat the root of wisteria.

伊勢沢林道が久しぶりだったせいか、イノシシが掘った穴にも目がいった。
林道直下にこんなに大きく掘り起こした跡が!
見た時は、人が山芋を掘った跡かと思ったくらいだ。
根を齧って食べているんだ。
もちろんこんなことをするのはイノシシの仕業だ。
この根を齧ってしごいている。何の木の根? 
太くて曲がった幹が判るかな?
そう、フジWisteria floribundaの木だ。
幹には齧った痕はついていない。
フジの根を食べるためにこんなに土を掘り返している。
イノシシにとって、今の時季のフジの根はこの位の労力に値するものなのだろう。
思い出した。先週14日にアップした土山峠のイノシシの食痕も
フジの根を齧り、しごいたものだった。
 
今日も野外実習の日だが、趣向を変えて上野の東京都美術館にした。
その趣旨を書いたレジュメがOKになったのだ。
学生たちに芸術家の目を通して見た動物、植物などの自然を鑑賞してもらい、
一人一人が自然を見る目の違いを味わってもらいたい。


2012年12月21日金曜日

伊勢沢林道にケンポナシを求めて! Seeking Hovenia dulcis in the Isezawa forest road!

  • ある目的があって、久しぶりに伊勢沢林道に行ってきた。
  • ゲート前の駐車場に車を置いて、外に出たら寒い。
  • 山に登る訳ではないし、手が冷たくなるのでストックを車に置いていく。
  • 寒そうな水沢の河原
  • 寒い筈だ、大きな霜柱。 
音見橋付近から焼山の方を見る。 
落ち葉が溜まっている箇所が多い。 
動物たちは、落ち葉の上にもウンチをしているのだろうが、
見つかるのは剝き出しのアスファルト道路の上の方が多い。 
音見橋手前の崩壊した土砂が道に、、、。 
ここは、路肩が崩壊し、ガードレールも下に落ちている。 
上から岩が落ちて、ガードレールも突き破ったのだ。 
4月30日以来の伊勢沢林道であった。
今回、ここに来たのは、ケンポナシHovenia dulcisを見るためであった。
が、果実が林道に落ちているわけではなく、見上げても果実がついていない。
ケンポナシの実生りが悪かったのか?
ともかく動物たちの糞を見れば分るので、10個を超える糞を採集してきた。
 
このところ糞の水洗い法も、手際良くなってきている。
今の時季の糞は固いので、帰宅したら、すぐに糞が入ったビニール袋に水を注ぎ入れて閉じる。
こうしておくと翌日には柔らかくなって容易に水洗いしやすくなる。
これをしないと、バラバラにするのに時間がかかる。
ケンポナシの種子が出てくるかな?

イタチ、テン糞の内容物 The contents of scats of a weasel and martens.

 12月15日の日向薬師・梅の木尾根・大山・ヤビツ峠の続き
梅の木尾根で見つけたテン糞2個とイタチ糞の内容物です。
10時8分、テン糞
アカネズミの切歯上下一本、他の骨片、毛多数、
サルナシの種子3個、果肉付き果皮多数(2個分)
11時28分、テン糞 
マメガキの種子1個、サルナシの種子27個、果肉付き果皮、カマキリの前足一部、節足動物の翅の一部
 12時8分、 イタチ糞 
昆虫の脚9本、サルナシの種子1個、不明植物質(サルナシの果肉付き果皮?)
 
このところ動物たちの糞を洗ってきがついたことがある。
サルナシやマメガキの種子と果皮付き果肉は同時に排泄させることもあるが、
多数の種子があるのに果皮付き果肉がほとんどなかったり、その逆の場合があったり、
イタチ糞の場合のように、サルナシの果実を食べた筈なのに、1個しか種子が出てこなかったり、
消化されい物が、種子や果皮、昆虫の外骨格、動物の毛などと云うように、
大腸あるいは直腸内でまとめられ、別々に排泄されているような印象をもつ。

2012年12月20日木曜日

アナグマもイノシシを食べた。The badgers ate a wild boar,too.

 
12月15日の日向薬師・大山・ヤビツ峠の実習の続き:
下図のGPS軌跡のポイントで、緑丸テン糞の位置、赤丸1タヌキ糞、
黒丸①②はアナグマ糞、赤丸キツネ糞、群青イタチ糞、
↑はイノシシの毛がシカ柵に絡まっていた位置である。
見つけ拾った糞は、全て唐沢峠・大山を結ぶ登山道に出るまでだ。
登山道に出てから、大山・ヤビツ峠まで糞を見つけられなかったのは、
ぼくが疲れてしまって注意が散漫になったこととが原因であろう。 
上野地図の糞を見つけた場所だけを拡大した。
①と②のアナグマ糞を洗った。

これら二つの糞の内容物は、土砂、サルナシの種子と果皮、さらに5センチ前後のイノシシ毛と思われるものが3、4本づつ入っていた。さらに土壌動物(ミミズ)を食べたと思われる外皮があった。
18日にアップしたキツネ糞の中にもイノシシ毛が含まれていた。
アナグマ糞①②とキツネ糞の位置は、直線距離で1.5キロくらい離れている。
同じイノシシを食べたものと思われる。
この採食場ではキツネとアナグマは顔を合わせたこともあっただろう。
そんな現場を一度は見てみたいものだ。


2012年12月19日水曜日

イノシシの毛 The fur of wild boar.

12月15日の梅の木尾根の稜線上の道の南側に古いシカ柵があった。
その有刺鉄線にイノシシ毛がついているのを、Kishi君が見つけた。
彼は、このような小さなものでもすぐ気がつく良い目を持っている。
この50センチくらいの間を跳び抜ける時に背中の毛が絡まってしまうのだろう。
一回ではなくて何度もをくぐり抜けているために、このようにたくさん引っ掛かったのだろうか?
それとも一回だけでこのようにたくさんの毛が抜けてしまったのだろうか? 
ぼくは、今、あらためてこの写真を見ながら、恐らく何頭かの個体が何度もくぐり抜けようとした時に引っ掛かってしまったのだろうと考えている。
恐らく、背中にこの有刺で怪我をして血を滲ませたヤツもいただろう。
スギの植林をシカの食害から守るためのシカ柵だが、他の野生動物たちはシカのために
ずいぶん行動域が制約され、怪我までしているのだ。