前回、上腕骨の滑車上孔はイヌ科の動物やアナグマ、アナウサギにあることから、前足で地面を掘る行動をする動物の上腕骨に滑車上孔の有無が関係しているようだと述べた。地中にトンネルを掘り地中生活をするモグラには滑車上孔が無い。知人のNKさんの畑の芋掘りをした時にアカネズミを見つけた事がある。アカネズミはモグラのトンネルを利用していたようだ。が、もしかしたらと思ってアカネズミの上腕骨を調べた。このアカネズミは2016年に横浜のNoguchiさんが自宅のネコが持ってきた個体を送ってくれたのだ。在った!左の上腕骨に糸を通すのが難しいくらいの小さな孔が開いている。が、右の上腕骨には孔が無い(図1)。兎も角、アカネズミは地面を掘ってジャガイモなどの根菜類を食べる行動がこのような滑車上孔の形成に結び付いていることは間違いない。
図1.アカネズミApodemus soecuisusの前から見た左右の上腕骨
〇:大結節稜 →:滑車上孔
アカネズミの大結節稜はまるで船の舵のように幅広い。やまぼうしさんより貰ったヒメネズミも大結節稜は目立つが、滑車上孔は見当たらなかった。
霞ケ浦付近で捕まえたハタネズミを小田切啓子さんから2005年に送ってもらっていた。何と、そのハタネズミには左右の上腕骨に滑車上孔がある(図2)。っと云う事は、ハタネズミはアカネズミ以上に地面を前足で掘って草の根や塊根なども食べると云うことだ。
このハタネズミも大結節稜が目立つ。
図2.ハタネズミMicrotus montebelliの前方からの左右の上腕骨と滑車上孔
もう、結論付けて良いだろう。上腕骨の滑車上孔は地面を前足で掘る動物には存在するのだ。自分としての新知見だ。嬉しい。モグラの仲間に滑車上孔が無いのは前腕骨(尺骨や橈骨)を横に動かすからだろう。しかし、滑車上孔があるアナグマ、イヌ、アナウサギ、ハタネズミは前腕骨を下に強く動かすからだ。 あー、酷い!釧路に行く前に上腕骨の標本を取りだしてた。今、一応上腕骨の滑車上孔に関する疑問は解けたので、それぞれの上腕骨をそれぞれが入っていた容器に戻そうと思った。が、アメリカモモンガの骨を容れていた箱?orジブロックの子袋がどこにあるのか分からない。リスを容れている菓子箱の中の小箱を見たがダメ。あー、もうパニック状態だ。仕方なくアメリカモモンガの上腕骨に名札をつけた紐を付けて電気スタンドの傘にぶら下げた。


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