真無盲腸目トガリネズミ科のトガリネズミ、ジネズミ、モグラ科のヒミズ、アズマモグラの脛骨と腓骨はモグラを除いていずれも脛骨の中頃より上の方(近位端より)で癒合していた。齧歯目のリス科:リス、シマリス、ネズミ科:ラット、アカネズミ、カヤネズミ、キヌゲネズミ科:ハムスターの脛骨と腓骨を比較した(図1)。齧歯目では、脛骨と腓骨が真無盲腸目の動物たちのように癒合しているのはリス科以外の動物たちだ。しかし、ラット、ハムスター、アカネズミはモグラたちとは違って脛骨の下の方で癒合している(図1)。
図1.左の脛骨腓骨 左からリスSciurus lis、シマリスTamias sibricus、ラットRuttus norvegicus、ハムスターMesocircetus auratus、アカネズミApodemus speciosus、カヤネズミMicromys minutus
リス、シマリスは腓骨は脛骨から完全に独立している。カヤネズミは脛骨の中ぐらいで癒合しているようだが、、、、。リスやシマリスは木に登り下りする時に足先を広げたり狭めたりする。この為に腓骨と脛骨は離れていなくては足首から先を左右に動かせない。ラット、ハムスター、アカネズミも木登りすることはできるが、リスなどと比べると不器用だ。
カヤネズミはカヤの中を縦横に動き回っている。カヤの細い茎を上下に移動できる。脛骨と腓骨がアカネズミやラットのようだと縦横に動き回るのは難しい。それで、カヤネズミの脛骨と腓骨を接写フィルターをつけて拡大した撮った(図2)。
図2.左:左脛骨・腓骨 右:右脛骨・腓骨
カヤネズミの腓骨は脛骨の中頃で癒合しているが、遠位端の腓骨外果は完全に脛骨から離れている。モグラなどの真無盲腸目の腓骨は脛骨の半分より上の方(近位端)で癒合している。が、ネズミなどの齧歯目の腓骨は脛骨の半分より下の方(遠位端)で癒合している。この違いが、アカネズミやラット、ハムスターでは垂直の木は無理だが、45度位の木の枝なら優に上り下りできる。しかし、モグラの仲間では無理だ。この腓骨が癒合する位置で足首の内外転の差が出てくるものと思われる。
このところ腓骨や脛骨に着いて足首から先を動かす筋肉を勉強しているが、動物種によって脛骨と腓骨の関係が異なるので、もうお手上げ状態だ。多くの動物たちを解剖して肢の筋肉を一つ一つ見ることはもう難しい。ジネズミやヒミズ、モグラ、アカネズミやカヤネズミなどの筋肉を明らかにした解剖図などがあったら教えてもらいたい。
ところでリス科のムササビやモモンガの脛骨と腓骨はどうかな?
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