日本の陸生哺乳類は、トガリネズミ目、翼手目、齧歯目、兎形目、霊長目、食肉目、鯨偶蹄目
の7目(order)がいる。
各目を代表させて、トガリネズミFig.2、ユビナガコウモリFig.3、スミスネズミFig.4、ノウサギFig.5、ニホンザルFig.1、イヌ・タヌキFig.6、ニホンジカFig.7の下顎骨を比較した。
Fig.1はニホンザルの下顎骨を左側方から撮ったものだ。
ニホンザルの歯式(切歯・犬歯・前臼歯・臼歯の本数)はぼくらヒトと同じで、
下顎の歯式は2・1・2・3となる。
ヒトの下顎骨にはオトガイがあるが、ヒト以外のサルや哺乳類にはオトガイがない。
下顎骨の①は筋突起で、ここから全体に咬筋がべったりと貼りつく。
②は下顎頭でここで頬骨の下顎窩と接し顎関節となる。
③は下顎角で、下顎体の下縁と下顎枝の後縁(←)とがぶつかる部分である。
①と②の上縁の凹んだ部分を下顎切痕↓で、サルは他の哺乳類よりも浅い。
もう一つの↓はオトガイ孔である。
まずは、サル、トガリネズミ、ユビナガコウモリ、、、、、の下顎骨をご覧あれ!
Fig.1 ニホンザルJapanese macaque Macaca fusataの下顎骨
Fig.2 トガリネズミShrew Sorex minutissimus hawkeriの下顎骨
Fig.3 ユビナガコウモリEastern bent winged bat Miniopterus fuliginosusの下顎骨
Fig.4 スミスネズミSmith's red backed Vole Eothenomys smithiiの下顎骨
Fig.5 ノウサギHare Lepus brachiyurusの下顎骨
Fig.6 上:イヌDog Canis familiaris 下:タヌキRacoon dogNyctereutes procyonoidesの下顎骨
Fig.7 ニホンジカ Sika deer Cervus nipponの下顎骨
此の所の雨模様と右足のアキレス腱炎で、家に引きこもっていることが多い。
で、骨を眺めることが多くなった。始めは、どの哺乳類の肩甲骨や上腕骨、橈骨・尺骨、寛骨・仙骨、大腿骨、脛骨・腓骨でも、皆同じ形をしていると思っていたが、見ている内にそれぞれの動物の行動や生態に関係した形をしていることが次第に見えてきた。
同じように、頭蓋骨の形は明らかに動物それぞれだが、下顎骨は大きさの違いくらいにしか感じなかった。
しかし、暇に任せて見ていると、①の筋突起が僅かにしか出ていなかったり、③の下顎角が突起となって飛び出ている動物たちがいたり、②の下顎頭が①の筋突起よりもはるかに下にあったり、さらには、オトガイ孔が1個だけでない動物たちがいたり、下顎枝に咬筋が貼りつく明らかな咬筋窩があったり、
歯は草食や肉食、昆虫食、雑食を反映しているが、下顎骨の形態は食物をどのように咬み取り、咀嚼するかを表していることが判る。
下顎骨の上下運動や前後左右運動に関わる咬筋や側頭筋、翼突筋、顎二腹筋、さらには頬筋やオトガイ筋などの大きさが動物種によって異なる。あー、骨に興味を持つとどうしても靭帯や筋肉の着き方を知りたくなるが、骨から見てわかる大雑把なところで
その不思議さ、面白さを見つけ出したい。
0 件のコメント:
コメントを投稿