アナグマの頭骨を7個持っている。タヌキの頭骨は30個以上持っている。それらの頭骨を見ていて気が付いた事がある。それは、アナグマの頭骨7個の内5個は鼻骨・前顎骨・上顎骨・頬骨・前頭骨・頭頂骨などの頭骨のそれぞれ隣り合う骨同士がしっかり癒合して一つの骨になっている。しかし、タヌキの頭骨ではそのように癒合したものは1個を除いては全ての頭骨の各骨は縫合線が判る(図1)。
図1.上から見たアナグマ(左)とタヌキ(右)の頭骨
アナグマの頭骨の縫合線は矢状縫合の部分が隆起していて、タヌキも少し隆起しているが、前顎骨と鼻骨、鼻骨や前頭骨同士は縫合線がはっきり分る。このアナグマは左右の下顎骨も癒合合体している。
どうもアナグマの頭骨はタヌキに比べて性成熟後すぐに前頭骨や上顎骨などの隣り合う骨同士が癒合合体するようだが、この頭骨の各骨の癒合合体はイタチ科に共通する。しかし、タヌキやキツネ、イヌなどのイヌ科では老齢化してようやく癒合合体する。しかし、鼻骨同士や鼻骨と前顎骨の縫合は癒合合体はしない。
図2.15歳を過ぎて逝ったクロ
左右の鼻骨や鼻骨と前顎骨は癒合・合体していない。
イタチ科の頭骨はイヌ科の頭骨よりもすぐに固まってしまうが、イヌ科の動物は老齢化しても鼻骨や前顎骨は合体しない。イヌ科の動物の方がイタチ科の動物よりも頭骨の柔軟性があるようだ。
左右の鼻骨や鼻骨と前顎骨は癒合・合体していない。