シカ柵を潜ってから、このシカ柵が焼小屋沢東尾根に沿って張られている。だから、しばらくはシカ柵に沿って歩かなければならない。
これは、カモシカ糞だ(図1)。半径5m以内にたくさんのカモシカ糞がある。これはカモシカが狭い「ナワバリ」を持っていて、同じ場所で排泄するトイレ場を持っているからだ。シカはメスグループを形成して広い「行動域」を持って移動採食するので、サルと同じようにどこでも食堂でありトイレでもある。
図1. 9:16 カモシカ糞
図2. 9:57 タヌキのタメ糞だ!古い!
タヌキのタメ糞だ(図2、図2'、図3)。このようにタヌキが同じ場所に排泄するトイレを持つのはある程度決まった行動域の中に決まった巣穴を持っているので、どこでも排泄する訳にはいかない。結果的に自分たちの巣穴の付近の環境が不衛生にならないように気をつけているとも言える。さらに、タヌキのタメ糞場は仲間たちとのコミュニケーションの場ともなっている。
図2’.図2の古いタメ糞から1mくらい離れたところにタヌキ糞1
図3. 10:10 タヌキのタメ糞2
地上から出た木の根の樹皮が齧り取られている(図4、図4')。このように木の根の樹皮を齧るのはネズミの仲間、ノウサギ、シカ、カモシカなどの草食獣が多い。10円玉を置いて写真を撮るのは、歯の幅(歯型)の大きさを測る尺度になる。シカの下顎の第一切歯の幅は幅広いが、カモシカなら10円玉の0の幅くらいだ。ノウサギは左右の切歯の幅が10の幅くらいで、カモシカよりも狭い。
図4. 10:29 シカの食痕だ!
図4′. 図4のシカの食痕だ!
おー、マメザクラが満開だ(図5、図5’)! 風が冷たいのにマメザクラは咲くのだ。
図5. 11:18 マメザクラが満開だ!
図5'. 図5のマメザクラ
マメザクラのところでお昼にでもっと思ったが、登る。この辺りのササは完全に枯れてしまった。生きているササは無い。もうすぐ登山道というところで尾根を左に巻きながらヒノキ林を過ぎて登山道に出る。風が冷たい。指が冷たい。全部指付きの軍手にすべきだった。
図6. 11:26 登山道に出る 向こうは姫次方面
図7. 焼小屋沢左岸尾根と登山道との出合 向こうは焼山方面
姫次方面に向かって歩く。おー、テン糞だ!新しいが素手で摘む。指についた糞は立ち木に擦り付けて落とす。何か注意書きかな?と登山道沿いの木に結び付けられて張り紙がある。それには「北丹沢12時間山岳耐久レース」と書かれている。ひょー!ここまで上がってくるだけで一苦労なのにそれを走るなんて!60歳くらいまでジョギングしていたが、膝を悪くしてからは、山歩きでさえも膝が痛くならないように注意しながら歩いている。今でも下りは膝が痛くなるのでポレポレだ!
図8. 11:31 テン糞だ!やったー!
図9. 11:36 山岳耐久レース
11時43分、焼小屋沢右岸尾根と登山道との出合に着いた。下りは登りとは違って気を使う。下りながら何度も立ち止まって地図を広げ、コンパスを出して歩く方向を確認する。今は地図とコンパスに加えてスマホのアプリのGeographicaで現在地を確認できるから鬼に金棒だ!
登りは自分の登りたい尾根を目の前の高い所を目差して歩けば間違いなく着ける。しかし、下りは今さっき登ってきた尾根でさえも登り口まで下りていくのは並大抵の事ではない。20年位前までは下りの道迷いを無くすために所々に目印となる赤布を木の枝にぶら下げた。しかし、下りでは自分が付けたこの赤布さえ見つけられないことがあった。コンパスが1個では信用できず。2個まで持ち歩いたことさえある。自分の方向感覚を信じる余りコンパスが狂っていると思ってしまう。この辺りには異様な磁場があるのかもしれないとさえ思ってしまったことが幾度となくあった。GPSを持って歩くようになって、どこで迷ったかが帰宅してからパソコンの画面で判るので、今ではこの道迷いがあると帰宅後パソコンを見るのが楽しみにもなった。しかし、下りの道迷いをすると気が動転し始めるので落ち着こうと、40年前までは何度も立ち止まり座ってタバコに火を点けたものだ。
焼小屋沢右岸尾根を登って、左岸尾根を下る方が下りは凄く楽であることは判っていたが、難しい焼小屋沢右岸尾根の下りをすることにしたのだ。それは、地図(電子国土で磁北線入りをプリントアウト)とコンパス、それにスマホに現在地が判るGeographicaが入っているからだ。
右岸尾根に分け入り、陽が射し風が当たらない所を探してお昼にした。
図10. 11:43 登山道と焼小屋沢右岸尾根との出合 ここから入る