リスやサルは木登りが上手だ。しかし、両者の間には木登りの仕方に大きな違いがある。リスは爪を幹や枝に引っ掛けて登るが、サルは幹や枝を指や両手で挟んで登る。つまり、表面がつるつるした登り棒にはリスは登ることが出来ないが、サルは問題無く登れる。
リスのように爪を引っ掛けて木登りするネコ、ハクビシン、マングース、イタチ、テン、クマなどの食肉目(但し、イヌ科のイヌ、タヌキ、キツネを除く)の動物たちの上腕骨の内側に顆上孔という小さい穴がある(図1)。この顆上孔の有る動物が木登りする動物だけでなく、モグラのような地中で穴掘りをする動物にもある。
図1. 右上腕骨の顆上孔Foramen supracondylare(糸を通す)
左からタヌキRacoondog(下部の穴は滑車上孔)、ジャワマングースJava mongoose、イタチWeasel、アナグマBadger、ネコCat
この数日、モグラ、ヒミズ、トガリネズミ、ジネズミなどの骨を眺めている。モグラ科ばかりんでなくジネズミやトガリネズミの上腕骨に顆上孔があることが分った(図2)。
図2. *真無盲腸目Eulipotyphlaの上腕骨の顆上孔(糸を通す)
左からアズマモグラSmall Japanese mole、ヒミズJapanese shrew mole、オオアシトガリネズミLong clawed shrew、ジネズミDsinezumi shrew
モグラやジネズミはもちろんの事木登りなどしない。しかし、彼等にも顆上孔がある。これは恐らく前足の爪で掻き分けるようにして土を掘ることと結びついているのだろう。それはイタチ科のアナグマは木登りなどしないのに前足の頑丈な爪で穴を掘るために顆上孔が存在する(図1)ことを説明している。
*真無盲腸目Eulipotyphla
あー、ぼくは気が付かなかった!
モグラやトガリネズミの仲間は、ぼくが学生の頃から少なくとも20年くらい前までは食虫目Insectivoraと命名されていた。それがトガリネズミ形目Soricomorphaに変り、今は無盲腸目Eulipotyphalaとされている。
尚、ぼくの持っている標本では霊長目のスローロリス、有袋類のフクロモモンガやピグミーオポッサムの上腕骨にも顆上孔がある。
ぼくが今知りたいと思っているのはアフリカの土中に穴を掘るツチブタ、木にも登るしアリ塚を前足の爪で壊すアリクイ、さらには中南米のナマケモノにも顆上孔の存在を知りたい。また、今畑に埋めているアライグマは木に登り、サルのように長い指をもっている。アライグマには顆上孔があるだろうか?来春になったら判る。
しかし、前足の爪使用と上腕骨の顆上孔の存在はどのように結びついているのだろうか?
アップしてから、
返信削除アルマジロやセンザンコウの上腕骨にも顆上孔があるのが判った。
両者とも爪が強大だ!