2018年12月11日火曜日

ガマズミの実の不思議!-何故、テンは食べない?- The mysteries of viburnum's fruits! -Why never marten eat?-

12月になった。いよいよガマズミの真紅の実は甘くなっている。
霜が降り、ガマズミの実の果皮が少しシワが寄り始めると、その酸っぱみのある甘さが際立ってくる。こんなガマズミの実を見つけるとぼくは果柄ごと折り取って実が着いた房を口に咥え、果柄を引っ張る。
ガマズミの実が口の中に落ちこぼれ、軽く舌で実を押してその味を堪能する。
10月上旬のガマズミの実 食べるのはまだだ!
今頃山を歩いていてガマズミの実を見つけると、一緒に歩いている人にも勧めて食べてもらう。多くは酸っぱくて甘くて美味しい云う。
11月下旬のガマズミの実 もう、甘酸っぱい
こんなに美味しいガマズミの実なのに、何故かテン、タヌキ、アナグマたちはこの実を食べないようだ。
2008年5月からこれまでの10年間に約1500個以上のクマを含むテンやタヌキ、アナグマなどの食肉目の糞を拾い、水洗いして内容物を同定してきたが、一度もガマズミの種子(下の写真)が糞の中に入っていたことがないのだ。
ガマズミの種子
晩秋に目につく美味しい果実ではガマズミが一番だ!サルナシは動物たちに一番食べられるがいつも探しながら歩くがそう簡単に見つかるものではない。このように考えてきて思いついた。
秋から冬にかけて、動物たちが食べる、サルナシ、アケビ、マメガキ、ケンポナシの果実はどれも赤や黄、青などのカラフルな色合いをしている訳ではない。テンは果実の少しの発酵臭でも嗅ぎ分けて木に登ってサルナシなどの果実を食べることができる。が、これらの果実は林床に落下して時間が経って発酵して匂うのでタヌキたちが食べることができるのだ。つまり、嗅覚でエサを探す哺乳類が見つけてたべるのだ。
一方、ガマズミの実は真紅の果皮に包まれ、シワシワになっても果柄ごと枝についている。この12月も末期になってシワシワになったガマズミは発酵臭を出さないのだろう。恐らく落下しても臭わないのだ。だから、これまで一個の糞にもガマズミの種子が入っていたことがないのだ。
ガマズミの実は視覚でエサを探す鳥に食べられるように進化してきたのだ。しかし、サルナシは嗅覚でエサを探す哺乳動物に食べられるように進化してきたのだ。
植物の種子散布の戦略が視覚に訴える鳥用か嗅覚に訴える哺乳類用かで異なるんんだ!

果実の色がカラフルではない植物は哺乳類に食べられ、カラフルな実は鳥に食べられるように進化しのだろう。

そう考えると、鮮やかな青紫色のヤブムラサキの果実やカラスウリの果実、 サネカズラ、ノブドウ、アオツヅラフジ、ズミやアズキナシの果実がもっともっと哺乳類に食べられていても良さそうなものなのに糞の内容物として同定されないのも納得できる。
また、一方、いつまでも緑青色で目立たないキブシの実は鳥用ではなく、林床に落ちてから匂うようになる(多分)ので、テンもタヌキもアナグマもこれからエサとして食べるようになるのだ。

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