ー6月16日の湖岸林道歩きの続きー
下はミズキCornus nontroversaを食べたムササビPetaurista leucogenysの食痕だ。果実を食べるのではなくて葉を食べている。始めは林道の落ちているミズキの果実がついている小枝を見て、、、だれが落としたんだ?果実は一つも食べていない。
しかし、葉が奇妙な形で食べられている。葉を主脈で折り曲げて畳んで、葉の先の方を噛み取っている。こんな食べ方をするのはムササビだ。
何故、ムササビがこのような食べ方をするのか、葉の糖度とフェノール濃度で首都大学生態学研究室の方々が発表しております。
https://link.springer.com/article/10.1007/s11284-016-1371-xこの論文で、ムササビはentirely arboreal folivore(完全な樹上性葉食者)と書かれていた。
となると、2008年4月23日に奥湯河原から天昭山神社への道沿いで見つけたアオキAucuba japonicaの赤い果実を食べたのはムササビではなくリスSciurus lisということになる。
木の下には、果実の回りを齧り取られたアオキの実が散乱していた。まるで、リンゴを芯だけ残して食べたようだ。
ムササビが葉食者なら、ムササビは葉の糖分を消化吸収するために、どこに葉の主成分であるセルロースを分解発酵してくれるバクテリアを持っているのだろうか?ウサギと同じように盲腸?あるいは直腸?
哺乳類は、自前でセルロースを分解する消化酵素を作り出すことができないので、反芻するシカたちは胃にいるバクテリアに分解発酵させてもらってセルロースという炭水化物を糖に代えて吸収している。ムササビはどこにバクテリアがいるの?ネットで調べたら、判った。盲腸だ! 宮崎大学の研究者たちの報告だ!
環動昆、第26(1):29-35,(2015)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjeez/26/1/26_29/_pdf
隊長、お久しぶりです。
返信削除ムササビの論文、英語で読めないのですが、ムササビが完全葉食者というのはどのような調査の結果なのでしょうか?概略でいいので教えてほしいところです。奥湯河原のアオキの食痕、当時歯の幅を測ってムササビと結論されたはずですし、松の実を食べることはよく言われていること。また、やまぼうしさんの杉の実を食べたムササビ食痕もあるし、これもリスの仕業ということになってしまいます。
あー、take隊員ひさしぶり!
返信削除この論文はムササビが完全樹上性葉食者とした研究ではないんです。東京西部のムササビを調べたようです。
ムササビはクヌギの葉を食べる時は、葉を折り畳んで真ん中を齧り取り、葉の縁を残すことについての研究です。この研究では葉の中の糖分は葉全体に均一にあるが、葉を防衛する化学物質のフェノールは葉の縁に多く偏在しているようです。これは、葉を食べる虫は葉の縁から食べるので、葉を食べられないようにするためにフェノールの縁への偏在が生じたようです。そのため、葉食者のムササビはフェノールを避けるために葉を折り畳んで中央部を噛み取る採食技術を発達させたようです。
こんかい、ぼくが見つけたのはミズキの葉食いでしたが、ミズキの葉も折り畳んで中央部を食べているので、同じように葉の縁にあるフェノールを避けていると考えられます。
take隊員は元気に船に料理研究に励んでいるのをブログで見ております。もう、ぼくの手の届かない領域に行ってしまったのではないかと少し寂しさを感じております。
でも、飲みたいねぇー!
葉の縁にフェノールですか、よく分かりました。植物のアクというのも動物から身を守るためなんですね。
返信削除梅雨明け頃にまたみんなで林道歩きと飲み会をやりませんか。
林道歩き&飲み会 賛成票を一票投じます。
返信削除