2008年8月10日日曜日

風景と年齢

金沢八景駅裏の風景
右側にあるのは、金沢八景駅の上りのホームである。
若い女性がホーム沿いにある細い道(橙色の盲人用の案内板が続いている)を歩いている。
金沢八景駅前を含む、周辺だけが40年前の佇まいというか風景を残していた。
野島の方の風景は八景島シーパラダイスの開発によって様変わりした。
駅前は個人商店が立ち並ぶために駅前開発ができなかったのだ。

学生の頃、文学部の教授が飲んでいるのを見つけて、その席に割り込んでお酒を飲ませてもらった赤提灯があり、授業をサボって友人たちと駄弁っていたフルーツパーラもそのまま残っている。
線路下をくぐる狭い地下道を通ると学校へ通う細い道がそのままだ。
なんと、2軒の藁葺きの家までそのままだった。

当時の記憶が鮮明によみがえる。
涙が出そうなくらいに懐かしくなるのは何故なのか?

方丈記の一節に
行く川の流れは絶えずして しかももとの水にあらず
淀みに浮かぶ泡沫は かつ消え かつ結びて 久しくとどまること無し
世の中にある 家と住処も これに同じ

さらにその後の平家物語でも
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 沙羅双樹の華の色 、、、、

さらには、方丈記を意識した芭蕉の奥の細道で、
月日は百代の過客にして、行き交う年も又旅人也。舟の上に生涯を浮かべ、、、、

中学の国語の時間に上の一節や枕草子の一節を何度も読まされた。調子が良いので覚えている。
55歳になった頃かろから、片雲の風に誘われて 漂泊の思いやまず、、、という文章が突然頭の中に浮かぶ。
そういう精神年齢になったのだと思っている。

8 件のコメント:

  1. 永遠に揺れ流れる水面に船を浮かべて流されていたら、たまったもんじゃないでしょうね。

    船にいつも乗っているから実感できますが、どこかに錨をおろして、酒、酒! 柔らかい人肌と会話! 何か旨いもん! ってなりそうです。

    でも、大河の本流や大海もありますが、波の静かな入り江や、川でも支流の美しいところはあります。
    そんなところでなら船を浮かべてもいいですね。

    55歳の年齢も実感します。

    一杯やりましょう。

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  2. 西行もそうですが、もともとは勤め人ですよね。
    そういう人たちは突然妻子を蹴飛ばして、漂泊したくなるんだと思ってます。

    その点、こちらはダメ、すぐ山に逃げてしまい。赤提灯に戻る。
    こうやって夏休みを過ごしていると「小人閑居して、、、」いけない妄想に取り付かれたりする。

    take隊員はいつも舟に揺られているんだものね。やはり、そうなると錨をおろして酒と恋という事になるか!

    何故か、今日は「八月蝉く」セミが鳴いている声が聞こえる。今年始めてのセミの声。どうして聞こえるんだろう。今夜は庭のコウロギの声を聞きたい。

    一杯やる日が待ち遠しい!

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  3. 今、ちょっと呑んでます。
    で、考えました。

    漂泊の魂というか、もう、こんな世の中嫌だ!と思って、官職を捨てるような気持ちは女性にもあるんでしょうか?

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  4. 若い、これかななにをしようかという男の場合、
    放浪、さすらいの旅が似合ってますよね。

    それは自分探しをしているんだと思います。

    自分は何ができるのか・・・
    どうやって大成しようか・・・
    という課題のもとには
    見知らぬ土地で試行錯誤をするっていうのは
    大事だと思いますね。

    もともと勤め人で
    あるとき、突然漂白したくなる男の気持ち、
    わかる気がするなぁ・・・
    男、55歳、
    このままでいいのか?
    大成できない自分のままでいいのか?

    すべてを捨てて、
    昔のように自分探しを始めるのは今しかないんじゃないのか?

    というふうに
    男の場合、自分自身の完結のために異国の地に赴く、
    漂白の魂が備わっているとは思いますが、

    女性はは
    好いた男について
    二十歳にもみたない若い子が
    世界の果てまでその男の出身地であれ
    その男が漂白する先であれ
    迷いもなくついていき、
    行った先でしっかり根をおろすような気がしますね。

    どこに行っても、もう根をおろしてるんだから
    「漂泊の魂というか、もう、こんな世の中嫌だ!と思って、
    官職を捨てるような気持ちは女性にもあるんでしょうか?」

    という気持ちは、中年女性にはないと思いますね。

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  5. なんか、
    よくわかんなくて
    いまアップしたコメント
    匿名さんとなりましたが、
    Isa隊員です。

    55歳の自分を振り返りながら
    夕暮れビールを飲みつつ
    つれづれにキーボードをうちました・・・
    ご容赦!

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  6. 男・♂の漂泊の魂は叶わぬ事

    ぼくは、バカだった。サル学を専攻している筈なのにすぐサル学を忘れて自分の考え・生き方の希望を述べてしまう。

    ヒトやチンパンジーの♂は基本的に生まれた集団に居残るんです(父系制)。
    ニホンザルや他の集団生活する哺乳類はメスが生まれた集団に居残り、オスは生まれた集団をでて放浪するんです(母系制)。
    が、ヒト化への道を進んだ我々は、♂は生まれた集団・土地に残るんです。
    つまり、♂は他の集団から♀(嫁さん)をもらうんです。
    このヒト化への道を歩んでいるモノの♂にとっては、類人猿的な段階以前の状態の遺伝子とヒト化への道を歩んでいる遺伝子が壮年期を過ぎると思考の上で争いが起こり、昔のサル的な♂の生き方が、漂泊の魂の想いになるのだと思います。
    どうでしょう。あー、かなり酔ったかな?

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  7. そうそう、海外の土地に根を張ってしっかり生きているのは女性ですね。

    その点、男は情けないくらいひ弱です。

    ぼくは、これもヒト化への道を歩んでいる♂と♀と違いだと考えています。

    だから、isa隊員の考えるように♀は想わない、迷わない。出生地を後にすることは何の苦にもならない。
    そういう二十歳前後の女性に後を追いかけられてみたいですね。

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  8. 官職を捨てしまいたいという気持ち、女性にもあると思います。でもやらない人が多いのだと思います。(男性でも口にはしてもどれだけの人が実行してるか知らないけど・・・。)

    ご存知のように確かに女性は現実をいつもつきつけられています。

    こことは違うもっと別の世界・・・・とはなかなか考えにくいし考えなくてすんでいます。これはこれで悪くないなあと思うのだけど。

    思うことはオトコもオンナもけっこうおんなじなんじゃないかなあ。人間として考えたら。でもそのあとが違うのかもしれないですね。

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