アジア・アフリカに生息するニホンザルやゴリラなどの直鼻亜目真猿型下目狭鼻小目のサルはオナガザル上科とヒト上科に分類される。オナガザル上科はオナガザル科となり、これはオナガザル亜科とコロブス亜科に分類される。オナガザル亜科にはニホンザル、ヒヒ、サバンナモンキーなどが含まれ雑食性である。コロブス亜科にはアジアのコロブスのハヌマンラングール、テングザル、キンシコウなどと、アフリカのコロブスのアカコロブス、シロクロコロブスなどが含まれ主に葉食性であるが雑食である。
オナガザル亜科のニホンザル、サバンナモンキーとコロブス亜科のハヌマンラングールとアカコロブスの上顎の頬歯(前臼歯と臼歯)を見てもらう。
オナガザル亜科Cercopitheciae; ニホンザルの第三臼歯の咬合面の突出した部分は前後ともに2個づつであるが、サバンモンキーでは後端の尖がりは1個のようになっている。
図1.左:ニホンザルMacaca fuscata 右:サバンナモンキーChlorocebus aethiops
コロブス亜科Colobinae; アカコロブスの最前位の前臼歯は尖っているが、ハヌマンラングールはそうではない。
図2.左:ハヌマンラングールSemnopithecus entellus 右:アカコロブスProcolobus badius
オナガザル亜科のサルとコロブス亜科のサルでは頬歯(前臼歯と臼歯)の形状に大きな差は見当たらない。サバンナモンキーの第三臼歯の咬合面が他のサルたちと違っており、ただコロブス亜科のサルはリーフイーターと云われるだけあって、歯の表面が植物のタンニンで黒く染まっている。これはシカ、カモシカ、ノウサギにも見られた。
面白い事にシカやウマなどの草食獣たちの頬歯はどの動物においても歯の形状は前臼歯、臼歯とも同じであった。しかし、食肉目の動物たちの頬歯は違っていた。霊長目の狭鼻小目の図1&2の歯を見ると草食獣と同じように小臼歯も臼歯も似たような形状をしている。が、敢えて言うならばアカコロブスの最初位の前臼歯が他の歯に比べて尖っている。
しかし、ハヌマンラングールもアカコロブスもニホンザルやサバンナモンキーと植物食が大半を占めて両者の食物は大差がない。ただ、ニホンザルやサバンナモンキーは移動するときは地上であるが、ハヌマンラングールやアカコロブスは樹上を移動することが多いため、植物食でも草が多いか木の葉が多いかの違いくらのようにも思える。
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