2025年2月27日木曜日

広鼻下目のリスザルと狭鼻下目のハヌマンラングールとの頬歯の違いはどうか?        How about the differences of cheek teeth between Squirrel monkey in new world monkeys and Hanuman langur in old world monkeys?              

霊長目は曲鼻亜目と直鼻亜目に分かれ、ぼくらヒトは直鼻亜目真猿型下目なり、真猿型下目は中南米に生息するリスザルやマーモセット、クモザルなどの広鼻小目とアジア・アフリカに生息するニホンザルやチンプ、ヒトなどの狭鼻小目に分かれる。 

リスザルの上顎歯式は2・1・3・3となっているが、手持ちのリスザルの歯を見ると最後位の第三臼歯が抜けてしまっている(図1)。この第三臼歯は死後抜け落ちやすいようで、ADW: Saimiri sciureus: SPECIMENSでも欠如している。

アジア・アフリカ生息のハヌマンラングールの頬歯と比べる(図2)と前後に狭く、内外に広い歯となっており、臼歯の尖がりが外側の二つだけで内側には尖がりは目立たない(図1)。前後より内外に広い頬歯を持つのはウサギの仲間がそうだった。

図1.リスザルSaimiri sciureusの頬歯
リスザルもハヌマンラングースも主に樹上性であり、木の葉や花、果実を食べ、さらにカタツムリや昆虫類も食べている。
図2.ハヌマンラングールSemnopitnecus entellusの頬歯
これら両者の頬歯の違いは系統上の差が大きいと感じる。
では、最後に曲鼻亜目のスローロリスの歯を見てもらう(図3)。ロリスの仲間の歯式は2・1・3・3である。このスローロリスは長くペットとして飼われていたせいか、臼歯は歯根近くまで擦り減って平になっている。手持ちの老ニホンザルの第三臼歯と同じ位擦り減っている(図4)。
図3.スローロリスNycticebus coucang
野生のスローロリスは主に果実や樹液を食べ、昆虫や鳥の卵なども食べ、その他を食べている。何を食べてこんなに臼歯が摩耗したのだろうか?
図4.老ニホンザルの頬歯 右第三臼歯の内側は歯根近くまで摩耗
結局、霊長類の頬歯の形状は、系統分化した時のものを持ち続けているようだ。その点、齧歯目の頬歯は多様だ。

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